実は先日、すごく久しぶり(3年ぶりくらい)に新しいカメラ、Nikonのフルサイズミラーレスカメラ Z6IIを購入した。
何度も自分の中のもうひとりの私と相談しながら、よし、人生共に歩んでいこう! と一大決心をして手のひらの中に迎えてみたものの、それでも優柔不断な私は肝心のレンズが決められず。気になる2つのレンズで、うんうん頭を抱えていたら「どうぞ、どちらもゆっくり使ってみてください」と悩む時間をもらえることになったのだ。
# 「僕がいるから大丈夫だよ」といつでも温かく見守ってくれているレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」のこと
お借りしたレンズひとつめはNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S。1本で近くから遠くまでをカバーしてくれる、安心感のあるレンズ。側にいると「大丈夫。僕が何でも撮るから任せて!」と声が聞こえてきそうなくらいに、とにかく大体の撮りたいものはカバーしてくれる。頼れる彼氏かお父さんのようなレンズだ。
1.一番欲しい「その瞬間」を逃さない。抜群のオートフォーカスの速さ
仕事柄、遠い旅先へカメラを連れていくことが多い。そこに流れている空気感とか、温度感とか、そういう一瞬をわずかでも逃したくない。そんな時、オートフォーカスが速いこのレンズはとても重宝する。すでに使っていた友人から「この子はねえ、速いよ」とは聞いていたけれど、実際に使ってみて「これは速い、というより爆速だ!」と感動した。撮りこぼしたくない一瞬を、見事に捉えてくれる。
2.1本で色んな表情を魅せてくれる
旅先で「この画角も撮りたいし、でもこれも撮りたい...」となった時、いつもレンズの交換にあわあわしてしまって、ベストな瞬間を逃してしまったりする。広角から寄る絵まで、1本でカバーでき、このレンズを使うとそれがなくなる。だから撮影に思いっきり集中できる。
3.今自分が生きている世界は美しい、と改めて気づかせてくれる
このレンズを使って世界を覗くと、何気ない風景も、自分の手のひらも、とにかく透明感がすごい。全部がキラキラして見えて、「ああ、こんなに美しい世界に今生きているのか」と嬉しくなる。私の中ではNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sの最大の魅力は、これかもしれない。
#覗いたファインダーの向こう側の世界に恋をするレンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」のこと
もうひとつは、ふわっと優しいボケ感を出してくれる単焦点レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」。最初はその大きさにびっくりしてしまったけれど、最終的にはそんな小さなこと気にならなくなってしまうくらいに、魅了された。
1.その圧倒的な柔らかさに全人類が恋をする
「覗いた瞬間に恋をした」だなんて、どこかのキャッチコピーのような台詞がするすると頭の中に舞い降りてきてしまったのがこのレンズ。とにかく、光も色も、その先に広がる世界が柔らかい。
2.Fを開いて撮るポートレートの美しさが最強で最高
人より植物や風景とカメラを通して対話することが多く、普段あまりポートレートは撮らない。けれど、絶対にこのレンズと相性が良いのはポートレートだろうと思い、今回、友人たちにお願いしてシャッターを切らせてもらった。もはや美しい以外の感想が出てこないのだけれど、人を撮影して初めて「感動」した。
3.鮮明に写り、ふわりと輪郭が溶ける。食べ物たちの色気がすごい
よく「色気がある食べ物写真」を目にすることがあるけれど、自分の写真にそれを感じたことはなかった。けれど今回このレンズを通して生まれてはじめて「色気があるってこういうことか!」と実感した。ピントが合うところはキリリと、他はふわっと輪郭が溶けている。
とにかく艶っぽい。鼻を近づけると、匂いが漂ってきそうな、そんな雰囲気さえ感じる。
# 生き方に合わせた使い勝手の良いレンズと、究極の好みに振り切ったレンズと。どちらと歩んでいくか
月並みな言い方をすると、正直どちらもとても良い。叶うならどちらも欲しい。
「最初に迎えるレンズ」という意味合いでいくのであれば、安心感と安定感のある、NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sがベストなのだと思う。
ただ今の直感で選ぶのであればNIKKOR Z 50mm f/1.2 Sなのだ。もう、本当に良い。撮っている時の鳥肌が半端じゃない。
なので多分、結果私は「どちらのレンズとも歩んでいくこと」を選択するのだと思う。順番はきっとNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 Sが先になるし、NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sを迎えにいくのはちょっと先になってしまうかもしれないけれど。
どちらか一方ではなく、どちらも連れていくこと。
それが多分私の「本当に好きなもの」に誠実に従うことなのだと思う。
そう確信した、今回の撮り比べだった。
古性のち
1989年横浜生まれ。世界中を旅しながら「写真と言葉」を組み合わせた作品を作るフォトグラファー / BRIGHTLOGG,INCの取締役。飾らない日々をドラマチックに表現することが好き。
【編集部よりお知らせ】伊佐知美×古性のち Z 6II SPECIAL TALK
伊佐知美×古性のち Z 6Ⅱ SPECIAL TALK
トラベルクリエイターの伊佐知美さんと古性のちさんによるZ 6II 対談。
彼女たちに欠かせない“旅”と“写真”について、Z 6II で撮影された作品を交えてお伝えしています。
表現の幅が広がるNikon Zマウントレンズ
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S
ニコン Z シリーズカメラ用標準ズームレンズ。撮影シーンを問わず、ハイクオリティーな静止画、動画が楽しめるのはもちろん、小型・軽量ボディーなのも魅力。
NIKKOR Z 50mm f/1.2 S
開放F値1.2で圧倒的に美しく滑らかなボケを実現する大口径標準単焦点AFレンズ。
極めて高い解像力と大きく滑らかなボケが、表現に劇的な変化をもたらしてくれます。