Akine Coco
福井県出身。2019年6月頃から写真を本格的に撮り始める。8月にTwitterアカウントを開設し写真投稿を開始、唯一無二の世界観を生み出すアーティストとして注目を浴びる。2021年2月に初の写真作品集「アニメのワンシーンのように。」(芸術新聞社)を出版。Twitterのフォロワー数は27万にも及ぶ。
愛用カメラ : Sony α7R Ⅲ
愛用レンズ : FE 24-240mm F3.5-6.3 OSS
正解のない自由な表現に惹かれて
見過ごしてしまいそうな場所や物に詰まっている魅力を
「とあるスーパーの外観。同じ色の部分も日の当たり方で違って見えるのが面白かったので、斜めから撮影。ポップな色合いと、建物のどこか幾何学的な組み合わせに惹かれました」。
ミラーレスカメラで写真を本格的に撮り始めて半年後に、ミニマルにハマったというAkineさん。
「元々シュールなものが好きだったのと、正解がなく撮る人によってまったく異なる写真になることに強く惹かれました。キョロキョロとあたりを見渡しながら歩き、面白いと思ったら積極的に、向きに縛られずカメラをいろんな方向に傾け、色の組み合わせを意識しながら撮影します。普段ならスルーしてしまうような場所や物にも魅力が詰まっているんです」。
現実の中にあるけれど、どこか非現実的なもの
「ミラーに吸い込まれるような奥行き感を出すように意識しました」。
「夜へと変化する空色と橋の街灯の灯りがきれいだったので。望遠で切り取ることで、大きい街灯と小さい街灯があるような感じに。間に月を挟むことで、三つの灯りが均等に空に並ぶという図を表現」。
子どもの頃には気づけたような細かい部分に目を向けて
「子どもの頃は、空や物の些細なところにも意識を向けることができましたが、大人になると見える世界は広がるのに、細かい部分に目を止めることが減ってきてしまいます。だからこそ、普段見ることのない世界を写真として残しておきたいんです。こだわりは、できる限り望遠による圧縮効果を利用して撮ること。そして、その場の色合いを活かすように調整し、どこかCGっぽさのある雰囲気を意識しています」。
「影と光の入り方が面白かったので、梯子を中心に左右対称になるように撮影」。
「最初は飛行機を主体に撮るつもりでしたが、空と建物の構図が面白かったので縦に3つに割って、右側の飛んでいる飛行機は隠し味に」。
「普段から見慣れている何気ない田園風景。ぱっと見、軽トラが田んぼにはまっているのではないかという位置で撮影。情報をなるべく少なくするように単色でまとめました」。
GENIC VOL.60 【ミニマルに切り取る日常】
Edit:Izumi Hashimoto
GENIC VOL.60
特集は「とある私の日常写真」。
当たり前のようでかけがえがなく、同じ瞬間は二度とないからこそ留めておきたい日常を、表現者たちはどう切り取るのか。フォトグラファーが、クリエイターが、私たちが、それぞれの視点で捉えた日常写真と表現、そしてその想いに迫ります。