宇壽山貴久子
1999年にニューヨークで写真家として活動を開始、現在東京在住。ポートレート撮影などの他、様々なテーマで作品を発表している。2002年『犬道場』で写真新世紀奨励賞。『暮しの手帖』連載を書籍化した『ワンピースのおんな』(2021 草思社)、『SAME TIME NEXT YEAR』(2019)など。
月日が流れる前と後、ふたつの視点
2020年4月、最初の緊急事態宣言が発令された数日後、近所でたけのこを買った。茹でる前に突然撮影しようと思い立ち、白い紙に並べ、窓からの光で撮った。その時「いつまで続くのだろう?」という言葉が頭をよぎり、“How many days?”を仮タイトルにしてとにかく撮り始めることにした。3年後、空(くう)に何かを描くように撮った写真と、日記のようなテキスト、コロナに罹患した友人数名へのインタビュー、途中で始めた15歳と16歳のポートレートなどで一冊の本を作る。いつか読み返す時までそっと土に埋めておくノートを残すように。仮の題名はそのままにした。
2022年春、自分と最も縁のない十代半ばの人々にいちばん好きな服を着てもらい好きな場所で撮る試みを開始した。5年後にも再び同じ人を、その時点で好きな服、好きな場所で撮る約束をして。『ワンピースのおんな』(2021 草思社)はお気に入りの一着を身に着けた50歳以上の女性をモデルとした作品だ。この手法を部分的に継承しつつ、まったく異なるものになるだろう。
独り言だった“How many days?”に、“until you grow up”という一節が加わり続いていくことになった。月日が流れる間、わたしの知らないところで被写体にいろいろなことが起こるかもしれないし、起こらないのかもしれない。その5年後を見ること。そして、5年後に5年前の写真を見ること。ふたつの視点によってもたらされるものはあるだろうか。
宇壽山貴久子
写真展「HOW MANY DAYS?」情報
開催日時
2024年2月14日(水)~3月4日(月)12:00~21:00
休業日:2月20日(火)、21日(水)、22日(木)、27日(火)
入場料
無料
会場
twililight
〒154-0004 東京都世田谷区太子堂4丁目28−10 3F
行き方・アクセス
<電車>
東急田園都市線「三軒茶屋駅」から徒歩で5分