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移住後の仕事の選択肢/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.9

様々な移住者にインタビューした『移住女子』の著者であり、自身も現在、沖縄・読谷村に移住中の伊佐知美が送る連載コラム。移住に向いてる人、向いてない人、お金や仕事のことなど、気になる話を15回にわたってお届けします。
「"いま"この街で暮らしている意味って、なんだろう?」そんな疑問を持っている方の背中をポンッと押す、“最新の移住”コラム。
第9回は、移住後の仕事についてお話します。

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連載コラム:伊佐知美の「旅するように移住」

目次ページはこちらです。

移住後の仕事の選択肢/伊佐知美の「旅するように移住」Vol.9

「ライフスタイルを変えるために、移住したい!」そう考えた時に、多くの人が直面するのが「仕事どうする?問題」。
様々な移住者に取材する中で、仕事の探し方・続け方には色々な方法があるなぁ、と感じてきたので、今回は移住後の仕事の選択肢について書いてみたい。

仕事を変えない:現在の仕事をリモートワークで行う

もし、現在の仕事が場所を変えずにできる仕事であれば、まずはその仕事を移住先でも変わらずやる、という方法が一番スムーズだし、今っぽいなぁと私は思う。

数年前までは、場所問わず仕事を持ち歩ける職種といえば、デザイナーやライター、フォトグラファーやプログラマーなどのクリエイター職か、または働き方や働く場所が自由な企業の社員など、「限られた人たち」というイメージだった。

けれど、コロナをきっかけにリモートワークが一気に浸透したことにより、現在勤めている会社に所属しながら、暮らす場所だけを変える、という選択のハードルが下がりつつある。

たとえば最近、こんな事例を聞いた。

「会社にリモートワーク推奨と言われて実施しているが、実際にどこでやっているかというと、ほぼ全員が自宅。移住や長期ステイなど、環境を変えてリモートワークする人はいなかった。でも、自分は移住したいと思ったので、まずは上司に相談。すると、意外とスムーズにOKがもらえたので、大手を振って移住できた。言ってみてよかった……!」

また、「会社に移住したいと伝えたら、移住先の地域の支社創設や新しい事業を考えたいね、と予想外の方向に話が発展し、結果移住がとても歓迎される着地となった」というケースにも出会った。

「移住したいけど、前例がないので、会社に言うのはためらわれる」と感じる人がいたら、一度会社に相談してみるといいと思う。

仕事を変える:転職する

「いやいや、リモートワークは難しい職種だし、現実的ではないよ」。または「せっかくライフスタイルを変えるために移住するのだから、仕事も変えたいよ!」という方は、移住に際して仕事を変える……つまり転職を考えることになる(起業という方法もあるけれど、また別の話になってくるので、今回は割愛したい)。

移住後の転職先探しの一番の王道は、ウェブ検索。

たとえば、転職サイトでエリアを絞って探したり、該当地域の「U・I・Jターン希望者向け求人情報サイト」等で検索したりすると、大体の給与の相場や求人内容がわかるだろう。

また、目当ての業界や職種がある程度決まっている場合は、地域の企業や店舗などの公式サイト・SNSで発信されている個別の採用情報をチェックしてもいい。

最近は、「すぐに移住するつもりはなかったけれど、気になる移住先の気になるお店や、先輩移住者のSNS等をフォローしていたら、新店オープンや新規スタッフ募集の情報が偶然流れてきて、応募したら採用されて移住できた」というケースにもよく出会うようになってきた。

このように、気になる移住先に関連するSNSアカウントをチェック・フォローしておくだけでも、移住後の転職活動の第一歩につながる可能性がある時代なので、ぜひオススメしたい。

さらに、自治体が発表する「地域おこし協力隊」の活動や、伝統工芸の後継者育成事業、または跡継ぎ募集に興味を持つ若い人も増えている印象がある。

それらの情報も、自治体や伝統工芸を扱う工房などが、募集状況に応じて公式サイトやSNS等でその都度発信することが多い。こちらも日頃からアンテナを張っておくことが仕事探しにつながりそうだ。

ちなみに沖縄県では、「やちむん」と呼ばれる焼き物の後継者募集をたびたび見かける。住み込みが条件の求人もあり、その場合は仕事と住まいの両方が同時に確保でき、かつ知り合いもできそうなのでとてもよさそうだ。

仕事をしない:「移住後しばらくは、ゆっくり過ごす」パターンも

これは、資金やライフプランにもよるので万人向けではないかもしれないけれど、環境が許すならば、仕事を決めずに移住する、という方法も全然アリだ。

実際に、「移住する目的は、日々の時間の使い方を考え直すことにあるので、しばらくは貯金でやりくりしながら、数ヶ月〜1年くらいかけて今後の身の振り方を考えるつもりです」という人に、複数出会ってきた。

本当に仕事は一切しない、という人もいるし、アルバイト程度の仕事をする、という人もいる。まずは移住先の土地で楽しみながら暮らして、気に入ったお店に通ううち、そのお店を手伝うことになり、常連さんの紹介で現地の会社に就職することになった、などのケースは珍しくない。

また、田舎には、夏場の農作物の収穫補助スタッフ募集や、冬場のスキー場の臨時職員募集など、いわゆる「季節労働」も存在するので、それを渡り歩きながら暮らしている、という人もいる。

移住したら、ライフスタイルだけでなく人生における価値観が変わった、という人は多い。

なので、まずは移住をしてみて、それから日々の時間の大半を費やす仕事について改めて考えるという道も、理にかなっているんだろうな、と取材しながら感じてきた。

移住後の仕事、どうしますか? 現実的な問題ではあるけれど、肩の力を少し抜いて考えたら、新しい道が見つかるかも。みんながよい仕事に出会えますように。

伊佐知美

これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、語学留学しながらの多拠点居住など「旅×仕事」の移動暮らしを経て沖縄・読谷村に移住。移住体験者の声をまとめた『移住女子』の著者でもある。

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