プロフィール
長田果純
写真家 1991年静岡県生まれ。東京在住。14歳の頃から写真を撮り始め、現在はポートレート撮影やファッション、アーティスト写真や本の装丁など、活動は多岐にわたる。個展に、「透明になることは二度とない」2014年(下北沢アートスペース / 東京)、「いまは夜のつづき」2016年(三鷹ユメノギャラリー / 東京)、「平凡な夢」2019年(Alt_Medium/東京)2022年(es quart/東京) がある。
展示作品の一部と解説
幼い頃から石を拾っては持ち帰り、大人になっても無意識のうちに石を集めていた。自分の記憶や感情を超えて、ただそこにある石を見つめたとき、内側と外側、自己と世界が静かに繋がる感覚が生まれた。それは写真という行為を通して「世界に触れる」という営みそのものが、生まれ直すような体験だった。
「星くずたち」は、まなざしを深くし、石を通して存在や時間へ潜っていく試みだ。石の表面に刻まれた模様や傷は、皮膚の皺や痣のようでもあり、いつかの痕跡のようでもある。マクロとミクロの境界はゆっくり薄れ、石なのか、人なのか、あるいは誰かの記憶なのかが曖昧になっていく。輪郭がほどけていくその過程で、別々のものが遠くでそっと共鳴し合うように見えてくる。写真がすくい上げる“いま”という痕跡をたしかに辿りながら、わたしは“存在する”ということの根源的なかたちを見つめている。
今回の展示では通常のプリント作品の他に、湿板写真(アンブロタイプ)という技法を初めて用い、ガラスに焼きついた像の下にプリントを重ねた作品を発表する。複製を前提としない19世紀の湿板写真という在り方は、石そのものがもつ唯一性に呼応し、わたしの視点をよりはっきりと可視化するものとなった。それは、石という存在にそっと近づいていくための、ひとつの方法でもある。
宇宙の視点に立てば、石も人も記憶も、それぞれが固有のまま、同じ循環の中に漂う星くずのような存在なのかもしれない。「星くずたち」は、そんな循環の中で生まれ、これからもかたちを変えながら続いていくシリーズだ。これはその途上に現れた、今この地点でのひとつの姿である。
── 長田果純
長田果純 写真展「星くずたち」 情報
開催日時
2025年12月18日(木)~2026年1月19日(月)11:00~18:00
休廊日:火、水曜
※入場制限やアポイントメント制となる場合があります。
入場料
無料
会場
THE BOOK END
- 〒650-0024 兵庫県神戸市北区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング 302
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
JR神戸線「元町駅」から徒歩で5分
神戸市営地下鉄海岸線「みなと元町駅」から徒歩で3分