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【#愛が伝わる写真:3】山本陽介(山本写真機店)

たとえ撮り手はそう強く何かを「伝えたい」と思っていなくても、見る側に想いが伝わってきてしまう写真がある。
大切な家族や愛する人を被写体にするとき、撮る人の気持ちはきっと特別だから、写真から自然と愛が伝わってくるんです。
今回は、“ふつうの写真”として日々の暮らしを記念に残す、山本陽介さんの「愛が伝わる写真」をお届けします。

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山本陽介

写真屋 1979年生まれ、山口県出身。カメラ歴約25年。山口県宇部市で3代続く山本写真機店の現店主。
愛用カメラ:Leica M2、Plaubel makina67、PENTAX 67Ⅱ
愛用レンズ:Leica SUMMILUX 35mm f/1.4 2nd、SMC PENTAX105mm F2.4

人生の記録

いわゆる”映える”写真ではなく、“ふつう”の写真がいい

奥様のご実家に飾られている記念写真の1枚。「写真の魅力は“残る”ことだと思います」。

「恋人ができて家族になって子供が産まれたら写真を撮る」という、ふつうのこととして奥様と2人の娘さんを中心に、ご家族の日常を撮り始めたという山本さん。
「写真屋なので、家族や身の回りの大切なモノやコトの写真をみんなにも撮ってほしいという気持ちは、SNSの登場以前から強く持っていました。SNSは見られることが前提なのでいわゆる“映える”写真を、と考えがちですが、何年か後に見たときに一番うわぁってなるのは、こっち向いてピースしている集合写真だったりする。”ふつう”の写真でいいんだよということが伝えられたらいいなと思います」。

「10年後20年後に見たくなる写真」を撮ろう

「“10年後20年後に見たくなる写真”を撮ろうといつも思っています」という山本さん。「娘たちはある時期から撮られたくないと思っているので(笑)、お気に入りの写真が撮れたときの喜びはひとしおです」。

「面白かったり、うれしかったり、きれいだなと感動したり…写真は心が動いたときに撮りたくなるもので、その“いいな、撮りたいな”は今まで生きてきた経験の積み重ね。いつかのために残したい、という気持ちが強いですね」。

目を瞑って、その人の顔を思い出すときに浮かんでくる顔が撮れたらいいなと思います

「家族写真においては、今日は写真に残したいなと思うときにカメラを手に取ることが多いです。その日自体を楽しんでいると、結果写真は少なくなるのですが、1枚でも残っていれば、その写真からその日のことを思い出せて後々楽しいし、記念写真は撮る行為自体も楽しい。妻の実家には、僕が写真を撮るようになってからのお盆や正月の記念写真がずらりと飾ってあるのですが、それを見て、このとき〇〇ちゃんは~みたいな話ができるのも、とてもいいなと思っています」。

100年残れば、どんな写真も名作になるから。撮りたいときに撮りたい写真を撮ればいい

写真屋さんである山本さんが、個人として家族を撮る面白さとは?
「撮ってくださいと依頼していただく写真とは違って、こっちが一方的に撮りたい写真。なんてことない写真でも何年か後に見るとすごく貴重に思えるので、お仕事で撮らせてもらう写真とはまた違った面白さがあります。写真は時間が経つにつれて価値が増すと思っていて、アルバムの中の娘たちの小さな頃の写真は今では大切な宝物。それを商売にしている写真屋が言うと押し付けがましく聞こえるかもしれませんが、なるべくプリントしてアルバムに入れて残しておくとよいと思います」。

写真を通じて娘たちに伝えたいことは特にないけれど、結婚式のスライドショーは任せて!くらいでしょうか(笑)

昔のアルバムの中にある、小さな頃の娘たちの写真は大切な宝物

山本陽介(@yamacame) Instagram
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GENIC VOL.61 【愛が伝わる写真】
Edit:Akiko Eguchi

GENIC VOL.61

テーマは「伝わる写真」。
私たちは写真を見て、何かを感じたり受け取ったりします。撮り手が伝えたいと思ったことだけでなく、時には、撮り手が意図していないことに感情が揺さぶられることも。それは、撮る側と見る側の感性が交じり合って起きる化学反応。写真を通して行われる、静かなコミュニケーションです。

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