目次
グランプリ
丹野雄二「身土不二」
丹野雄二
フォトグラファー 1990年生、神奈川県横浜市出身。写真スタジオでの勤務を経て、2018年8月に独立。
横浜を拠点に、人物撮影を中心にポートレート、ビジネス、WEB、雑誌など、ジャンルを限定せず活動。
この度は、グランプリにご選出いただき、誠にありがとうございます。
自身にとって初めて手にする受賞ということもあり、驚きとともに大きな喜びを感じております。
本作品を選出してくださった審査員の皆様、そして撮影のきっかけと舞台を与えてくださった楠クリーン村の皆様、制作に関わってくださった方々や日頃支えてくれている友人たちへ、心より感謝申し上げます。
この撮影は、これで終わりではなく、これからも続いていくものです。
彼らの歩む旅路と、その先に広がる景色を見つめ続けていくことを、とても楽しみにしています。 今回の結果に驕ることなく、これからも真摯に写真と向き合い、作品を撮り続けていきたいと思います。
ステートメントと作品の一部をご紹介
身土不二とは、「人間の体と、人が暮らす土地は一体である」という仏教に由来する言葉です。山口県宇部市にある楠クリーン村では、自らの生活と命を自分たちの手で支えることを大切にしながら、鶏を育て、卵を集め、畑を耕し、火を起こし、食べ、眠るという日々を積み重ねています。そこに贅沢や効率はなくとも、欠乏ではなく、むしろ静かな「豊かさ」を感じました。自然とともにある時間の流れは、消費と速度に支えられた社会とは対照的であり、人と土地が再び結び直される可能性を静かに示しています。この作品は、彼らの暮らしを記録したものです。しかし同時に、未来への問いかけでもあります。人はどのように土地と関わり、生きることを選んでいけるのか。誰かが用意した仕組みの中ではなく、自らの手で「暮らし」を形づくることはできるのか。彼らの日々を見つめ続ける中で、身土不二という言葉は理念ではなく、確かに存在する生のかたちとしてそこにありました。この写真群が、人と土地のつながりに宿る可能性と、「豊かさ」と呼ばれるものについて、静かに考えるきっかけとなればと思います。
審査員コメント
丹野雄二の作品は、日常の都市生活の速いテンポから遠く離れた、もうひとつの生き方を垣間見せるものとして審査員の目に映った。彼のシリーズは、大地と調和して生きる暮らしを繊細に描き出している。それは、写真に写し取られた所作の素朴で純粋な美しさや、「身土不二」という生き方の概念を表現することによって示されている。私たちが環境と密接につながり、影響を与え合っている存在であるという考え方に寄り添った、瞑想的ともいえる写真表現であり、土地との関係性、そして丹野が示唆する「豊かさ」とは何かを問いかける。審査員はこの点に強く心を打たれた。
── Simon Edwards(サイモン・エドワーズ) 審査統括責任者/Salon de la Photoアートディレクター
一見やさしげな物語の装いのもとで、丹野雄二は単なるドキュメンタリー・シリーズを超えたものを提示している。それは「身土不二(Shindofuji)」というひとつの哲学そのものの体現である。彼のすべてのイメージにおいて、人間と自然は調和のうちに一体となり、私たちの大地との関係を根本から問い直すことを迫ってくる。
── Cyrielle Gendron(シリエル・ジェンドロン) 『PHOTO』編集長
「身土不二」を構想するにあたり、丹野雄二は「人間と、彼らが生きる大地は一体である」という仏教的概念から着想を得ている。そこから生まれたのは、調和に満ちた穏やかな存在のあり方を映し出す構図であり、ある種のやさしさと「長い時間」への敬意によって特徴づけられている。
── Fabrice Laroche(ファブリス・ラロッシュ) 『Fisheye』編集長
シリーズ「身土不二」において、丹野雄二は普遍的な広がりをもつ実存的な物語を語っている。それは、人間と大地との関係についての物語だ。世界から切り離された、時間の外にある小さな楽園。そこにあるのは、「どこか別の場所」となりうる日本であり、都市の喧騒や狂騒から遠く離れた、心地よく生きられる「別世界」である。時間が止まったかのように感じられ、再び時間の流れを本来のリズムで感じ取ることができるこの瞬間は、なんと優しいことだろう。家という親密な空間の中で一瞬一瞬を味わい、自然が自らのリズムを取り戻すのを受け入れる。繊細さに満ちた彩度を抑えたこれらのイメージの中には、要素の「物質性」が感じられる。赤ん坊の手のやわらかさ、農夫に撫でられる麦畑の中の母親のやさしさ、花や食事の匂い――素朴でありながら共同体的な営みを思わせるそれらの感覚。すべてが、きわめて穏やかな雰囲気の中にある。希望を与えてくれる、ひとつの別世界である。
── Léonor Matet(レオノール・マテ) 『Polka』図像学者
準グランプリ
濱 未亜「日常イズワンダー」
濱 未亜
セルフポートレイトフォトグラファー 東京都在住。ニッコールフォトコンテスト入選、ピクトリコフォトコンテスト入選、APAアワード入選、BMW×LEICAフォトコンペティション入選、その他コンテストの入賞多数。
ファッション、マンガ、音楽、映画が大好き。私の作品は難しいことは何も考えず気軽に見てください。作品を見てから難しい考察をあなたがするのは自由です。
私は写真を始めてからずっと1人でも多くの人に私の写真を見てもらいたい、世界中の人に私の作品を見て知ってもらいたいと思っています。
そして私の写真が街中で大きく広告として展示されるようになりたいと思っております。
フランスのみなさんに私の写真を見てもらえるのが今から楽しみです︕
ユニークな奴だぜ︕て思ってもらえたら嬉しいです♡
ステートメントと作品の一部をご紹介
私はいつもセルフポートレイトで作品を制作しています。都市や街の中に自分を置く事で日常の風景はわずかに姿を変える。大きな非日常ではなく日常の風景の中に自分を置く行為。何か小さな違和感やズレを見る人に楽しんでもらいたいと思っています。
審査員コメント
濱未亜のセルフポートレートは、にぎやかな都市の通りの中に、時に場違いとも思える立ち位置で彼女自身を配置している。周囲の環境と必ずしも一致しないポーズで写る彼女には、どこかユーモアが漂う。時には薄着で挑発的な視線をこちらに向ける一方、別の場面では女子学生や若いビジネスウーマンとして、都市生活に完全に溶け込んだ姿を見せる。金髪から黒髪へと姿を変えながら、彼女は恐れずに周囲の空間を自らのものとし、その自立性を示している。ある意味でこれは、被写体が周囲の環境に影響を与えることを示す実演ともいえるだろう。
── Simon Edwards(サイモン・エドワーズ) 審査統括責任者/Salon de la Photoアートディレクター
濱未亜の作品には「アプロプリエーション(引用/転用)」というテーマがある。セルフポートレートという純粋な伝統をウルトラモダンに再解釈すること、そして若い女性アーティストとして公共空間を自らのものにし、既存のコードを揺さぶること。その日常的な美学の中で、彼女は日本社会を構成する多様な女性たちを体現している。それは、一見すると遊びのようでありながら、実は見た目以上に多くのことを語るゲームのようでもある。
── Cyrielle Gendron(シリエル・ジェンドロン) 『PHOTO』編集長
「日常イズワンダー」において、濱未亜は通りや公園、コンビニエンスストア、あるいは駅のホームなどに自らを登場させ、常にカメラのレンズをまっすぐに見つめている。こうした公共空間の再占有を通して、彼女は私たちが他者に向ける視線そのもの、そして日常の中にふと立ち現れるズレや違和感を問い直そうとしている。
── Fabrice Laroche(ファブリス・ラロッシュ) 『Fisheye』編集長
セルフポートレートとは、思索を促す行為である。それは自分自身を問い直す方法なのか、それとも世界の中での自らの位置を考えることなのか。濱未亜は、シリーズ「日常イズワンダー」において、この問いを見事に提示している。写真家は、画像の中と同様に、現実の風景の中へと自ら入り込む。彼女は街角や都市、村などで、ポートレートのギャラリーのように自分自身を演出し、観光客からキャリアウーマン、スケーターから店員まで、さまざまな社会的役割のステレオタイプを体現する。変装はするが、決してやりすぎず、常に「ちょうどいい」。シンディ・シャーマンのように、誇張することなく。彼女の身振りや態度は、ときおり「日常という演劇」と戯れていることを示す小さな手がかりを明かし、私たちの現実感覚を揺さぶるための装置として機能している。
── Léonor Matet(レオノール・マテ) 『Polka』図像学者
CP+2026 情報
CP+ 2026
開催日時
2026年2月26日(木)~3月1日(日)10:00〜18:0
※最終日のみ17:00まで
※2月26日(木)10:00〜12:00はVIP・プレス・インフルエンサー入場時間
入場料
無料(事前登録制)
会場
- パシフィコ横浜
- WEB
- 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1
- Google Map
行き方・アクセス
<電車>
みなとみらい線「みなとみらい駅」クイーンズスクエア連絡口、クイーンズスクエア2F通路直結
みなとみらい線「みなとみらい駅」2番出口から徒歩で5分
京浜東北・根岸線「桜木町駅」東口から徒歩で12分