石川直樹が新たに挑んだ山々との対峙。8,000メートル峰の麓からデスゾーンに至るヒマラヤ登頂の記憶と記録
2022年春から秋にかけて、写真家・石川直樹は、海外に行けなかったこれまでの二年間の反動をそのまま体現するかのように、ネパールやパキスタンにまたがるヒマラヤ地域へと繰り返し出かけました。
4月にダウラギリ(8167m)、5月にカンチェンジュンガ(8586m)、7月にK2(8611m)+ブロードピーク(8051m)、8月にナンガパルバット(8126m)、9月にマナスル(8163m)と、6つの8,000メートル峰に立て続けに遠征し、雪崩で撤退を余儀なくされたナンガパルバットを除いた5つの山の頂上に立つことに成功して、10月に帰国しました。
身体をぎりぎりまで酷使しながら8,000メートル峰に連続して登ることで「生きている実感などという生半可な言葉ではあらわせないほどの強い手応えが毎日一滴ずつ滴り落ちて、自分の中に染み込む。そして、身体が日々刷新されていくような不思議な感覚がある」と、石川は述べています。
肉体的にも精神的にも極限の状況下において、ネガフィルムを装填した古い中判カメラを用いてヒマラヤの山々の麓から頂上に至るまでの日々を精緻に記録していく彼の撮影行為は、これまでの山岳写真の枠を大きく逸脱し、誰も真似のできない身体的な営為とも言えるでしょう。本展では、石川が文字通り命懸けでもぎとってきた写真群の中から、ネパール・ヒマラヤ地域のカンチェンジュンガ、ダウラギリ、マナスルという三山で撮影された写真を展示します。
Naoki Ishikawa Photo Exhibition「Dhaulagiri / Kangchenjunga / Manaslu」情報
開催日時
2022年12月17日(土)~2023年2月26日(日)11:00~20:00
会場
GYRE GALLERY
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5丁目10−1 GYRE 3F
行き方・アクセス
<電車>東京メトロ 半蔵門線、銀座線、千代田線「表参道駅」A1出口から徒歩で約4分
東京メトロ 千代田線、副都心線「明治神宮前駅」4番出口から徒歩で約3分
主催:GYRE
企画・編集:POST FAKE
グラフィックデザイン:加瀬透
会場構成:山際悠輔
PR:ディレクション HiRAO INC
トークショー
開催日時
2023年1月16日(月)
※時間や詳細は確定しだい、GYREのHPにてお知らせします
会場
GYRE FOOD(GYRE 4階)
関連エキシビション
写真展示「K2 / BroadPeak / Nanga Parbat」
K2、ブロードピーク、ナンガパルバットという、パキスタン北部にそびえる三座の写真を展示。三度目の挑戦となったK2、その隣に鎮座するブロードピーク、「人喰い山」という異名を持つナンガパルバット…、夏から秋にかけて石川が遠征した三つの8000メートル峰の写真が一堂に会します。
開催日時
2023年1月13日(金)~2023年2月5日(日)
SAI GALLERY
〒150-0002 東京都渋谷区神宮前6丁目20−10MIYASHITA PARK SOUTH 3F
Naoki Ishikawa × THE NORTH FACE
今回、展示が行われる表参道「GYRE GALLERY」から渋谷「SAI GALLERY」までの道のりに7つの店舗を構えているTHE NORTH FACE。展示期間に合わせ、ストア内での石川直樹の写真の展示や、関連書籍の販売、コラボレーショングッズの展開、トークショーや写真学校の開催など、さまざまなイベントを企画しています。
開催日時
2023年1月13日(金)~2023年2月5日(日)
会場
THE NORTH FACE BACKMAGIC/THE NORTH FACE MOUNTAIN/THE NORTH FACE ALTER/THE NORTH FACE SPHERE
石川直樹 プロフィール
1977年東京都渋谷区生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。
2008年『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞。2011年『CORONA』(青土社)により土門拳賞。2020年『EVEREST』(CCCメディアハウス)、『まれびと』(小学館)により日本写真協会賞作家賞を受賞した。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)、『地上に星座をつくる』(新潮社)ほか。
主な個展に『JAPONÉSIA』ジャパンハウスサンパウロ、オスカーニーマイヤー美術館(ブラジル/2020-2021)。『この星の光の地図を写す』水戸芸術館、新潟市美術館、市原湖畔美術館、高知県立美術館、北九州市立美術館、東京オペラシティアートギャラリー(2016-2019)。『K2』CHANEL NEXUS HALL(東京/2015)、『ARCHIPELAGO』沖縄県立美術館(沖縄/2010)など。
作品は、東京都現代美術館、東京都写真美術館、横浜美術館、沖縄県立美術館等に収蔵されている。最新刊に『STREETS ARE MINE』(大和書房)、『MOMENTUM』(青土社)など。