まるで幼馴染のあの子のような心地の良さを持つカメラ「Z 30」。
初めてZ 30を手にしたとき「幼馴染のようなカメラだなあ」とふと思った。確かに初対面のはずなのに、すっと手に収まる心地よさ。それに私の“好き”を驚くほどよく熟知していて、 カメラを構えたとき頭の中に浮かぶ、言葉にならない言葉みたいな“私らしさ”の種のようなものを、ちゃんと掬い取ってくれる。
何だかそういう阿吽の呼吸みたいなものが「大丈夫!なんとかなるよ」が口癖の、幼少期からずっと隣で歳を重ねてきたあの子に似ていた。
気づけば長らく動画コンプレックスだった。「のちさんって動画やらないんですか?」と誰かに聞かれるたび、やれ写真の一瞬を切り取る瞬間が好きだの、やれ何となく心がときめかないだのと言っては、逃げてきた。
気づけばネット上で私の写真を支持してくれている人が増え、もはやそこから飛び出すのが怖くなってしまっていたのかもしれない。
いつでも軽やかに手に入れたり、手放したりをしていたかったはずなのに。そんな臆病になっていた私を「難しいこと考えなくても、まあやってみようよ」と引っ張り出してくれたのが、Z 30だったのだ。
Zシリーズ最小・最軽量で、旅先の写真も動画も軽やかに。
Z 30と初めて歩いたのは旅先。和歌山県・田辺市だった。
2度目ましての田辺市は、ゆったりとした時間が流れていて肩の力が抜ける。「この場所はね、ちょうどいいんです」と話す町の人の話にうんうん、と首を振る。そんな田辺町を一緒に歩けるのがZ 30でよかった、と思った。いい意味で、このカメラには気負いがない。すんなり私の日常に入り込んできてくれる。
懐かしい味のする江川のちゃんぽんに、光が綺麗な古民家。何個でも食べたくなる喫茶のオムライスに、古道具のコップ。日々の終わりを包み込む淡いカラーの夕暮れ。
目に映るものすべてが美しく見え、夢中でシャッターを切る。そして、自然と動画を回す。
この感覚はフルサイズのカメラ Z 6IIと初めて出会ったときの感じと一緒だ。こんなに小さなカメラに、こんなに感動をもらえるなんて。驚いた。
ちなみにやけに軽いな、と驚いていたら、Zシリーズの中でも最小・最軽量で、重さは500mlのペットボトル程度らしい。身軽に田辺の町を散策できた。
ただ目の前を流れていく時間を思いのままに繋げてみる。それだけで。
風や光の息遣いが聞こえる町、田辺ではもう1本、動画を作ってみた。どれもすごく特別じゃない旅先でのワンシーン。そういうものを集めた短い動画を作った。
多分ずっとこういうものを作りたかった。
何度も見返したくなる特別な動画になった。
movie life 0811
1日が終わる頃にはすっかり私の長年のコンプレックスが顔を出さなくなっていて「こんなの撮ったの、見て」と誰かに見せびらかしたくなった。
なんだ、こんな簡単なことで良かったんだ。
私はただ、自分を褒めてあげられる、認めてあげられる自信がなかったのだ。
自分に自信がなくても良い。
手のひらの中にすっぽりとおさまった親友は、そんな不安をものともせず「大丈夫だよ」と先を照らしてくれるのだから。
Z 30の好きなところその1: 使い勝手の良い「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」がキットレンズに付いてくる
今回の写真や動画は、ほとんどこのカメラのキットレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」で撮影している(一部はダブルズームキットレンズのNIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR)。これ1本あれば十分だから、最初から思い切りレンズにお金をかけなくとも、自分の世界をめいっぱい楽しむことができる。私のお気に入りは特に焦点距離50mmの世界。
Z 30の好きなところその2: くるりと回転するバリアングル式画像モニターでセルフィーしやすい
好きなところ2つ目は、バリアングル式のモニター。くるりと回すと低い位置や高い位置、セルフィーもなんなくチャレンジできる。思いっきり寄りのセルフィーは私自身はあまり撮る機会は多くないけれど、三脚がわりにもなるトライポッドグリップ(別売り)を装着すれば向かうところ敵なし。ひとり旅の撮影もなんなくこなせます。
Z 30の好きなところその3: 動画から静止画への変換のしやすさ
この記事内にも何枚か入っているけれど、撮影後、動画から静止画を切り出すことができる。私も庭先のセミや少しずつ色が変わっていく黄昏時は、一番いいシーンを静止画で残したかったのであえて動画で撮影してから切り出してみた。絶妙なポーズとか、この瞬間をぜったいに逃したくない! みたいな時に重宝する。
ちなみに今回は使用しなかったけれど、動画を撮影している最中に最大40コマまで静止画を撮影することも可能。
好きなところはまだまだあるけれど、長くなってしまいそうなので3つほどで。
新しい世界の扉を開いてくれた、ちいさなカメラとこれからも
この動画を撮っているとき、頭の中にはあれも、これもが溢れて止まらなかった。長年ストックしてきた、やってみたかったさまざまな表現に、やっと挑戦できそうな気がする。
大事なものは手のひらからこぼさずに。手放すのが怖かったものだけをきちんと手放して。
歩いていこうと思います。
古性のち
1989年横浜生まれ。世界中を旅しながら「写真と言葉」を組み合わせた作品を作る写真創作家。BRIGHTLOGG,INC取締役。現在、東京と岡山の二拠点生活中。2021年7月共著『Instagramあたらしい商品写真のレシピ』(玄光社MOOK)を発売。2022年に初の単著を出版予定。
【編集部からお知らせ】小型・軽量のVlogカメラNikon Z 30
動画撮影に最適化したデザインのZ 30は、Z シリーズ最小・最軽量。瞳AF、動物AF搭載で、カメラ任せで顔や瞳にピントが合った動画撮影が可能です。また、ハイアングル、ローアングルなど自由なアングルで容易に撮影できるバリアングル式画像モニターにはタッチパネルを採用。高画質で高感度性能にも優れているので、暗所でもきれいな動画撮影ができ、スマホと同様の簡単操作ながら、スマホでは体験できない映像表現が楽しめます。