冴木一馬
ハナビスト(写真家・花火研究家) 山形県出身。
アパレル会社へ就職後、脱サラしてカメラマンとして独立。様々な雑誌関係の仕事を続けながら報道写真を撮るように。1987年から全国の花火大会を撮影、2000年以降は海外の花火にも赴き、トータルで約1400か所以上を撮影。1997年に花火師の資格を取得。写真集に『花火景』(赤々舎)、『HANABI(花火)』(光村推古書院)、著書に『花火のふしぎ』(ソフトバンククリエイティブ)、『花火ハンドブック』(文一総合出版)など
自分の周りに起きることに無関心で良いのか?
地球温暖化などの環境問題、ウクライナやパレスチナなど身の回りにある社会問題を積極的に見る者、偶然に見る者、敢えて見ない様にしている(関わりあいたくないなど……)者、たまたま夢の中で見た人など多種多様な生き方があるのも事実だが、生きづらい世の中であるとも囁かれている。
現代人の多くは半径5メートル以内には興味を示さないと言われ、そこにはアナログからデジタルに変化した社会構造が関係しているのであろうか?
情報過多と呼ばれる現代社会において「見る」という行為と「敢えて見ない」との境界はどこにあるのか。空を見上げれば直径300メートルの尺玉も煙で遮られることもある。そして風が吹けば視界が広がり鮮明になる。自然はデジタルでも操作はできない。そして人は偶然に感動する生き物でありプチ変換することによってアゴリズム的な発想で画像を生成し脳に蓄える。蓄積された絵はピクセルのように整理され記憶として残そうとするが、それを維持することは非常に難しい問題である。時を重ねる度に私はそうおもうのである。
冴木一馬
昨年実施した写真展のタイトルは「As it flows」
「As it flows」=「流れのままに」作家自身、そして来場者に対して「貴方は今のままでいいですか?」と問いかける展覧会でした。
As it flows. 直訳すると ”流れのままに” です。
今まで30年以上にわたって花火を忠実に再現することに力を注いできました。今回はフィルムからデジタルカメラに持ち替え、ある意味、現代の器械によって撮影しました。そして作品を作るという行為ではなく映ったものをそのまま見せるようにしました。私たちは常に社会の流れにあって起床する時間、食事をする時間、スポーツをする時間など様々な制約の中で動いています。ここにはオートフォーカスで花火の速さにフォーカスが追いつけないもの、またドシャ降りの雨の中でレンズに水滴が着いた状態で撮影したものなど今までにシャッターを切ることがなかったものを敢えて時の流れに逆らわずに撮りました。そして写真イコール、印画紙額装という概念から別の違った方向へも挑戦しています。壁紙のクロスやわら半紙、Tシャツなどへのプリントは時代の鮮明さを欠いて皆が同じ方向へ進むことを意味しています。生きていく中で驚く瞬間や事故など様々なことが自分にふりかかります。
冴木一馬
冴木一馬 写真展「indifference」情報
開催日時
2024年5月28日(火)~6月9日(日)11:00~18:00
※全日程在廊予定(予定が変更となる場合があります。ご了承の上、来場ください)
入場料
無料
会場
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室
〒605-0038 京都市東山区堀池町374-2
行き方・アクセス
<電車>京都市営地下鉄東西線「東山駅」から徒歩で5分
- 【お問い合わせ先】
- 京都写真美術館
- kyoto-muse.jp