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プロフィール

安藤瑠美
レタッチャー&フォトグラファー 1985年生まれ、岡山県出身。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後、現在は東京を拠点に制作活動をしている。10代の頃は画家を目指し、大学進学をきっかけに写真の世界へとのめり込む。2019年THE REFERENCE ASIA:PHOTO PRIZE 2019審査員優秀作受賞。LUMINE ART FAIRへ出展。
愛用カメラ:Sony α7 III
ARTFULL LANDSCAPE
写真との対話

「NYのタイムズスクエア。動画モニターに埋め尽くされていて、広告そのものが街の外観を作っていました。NY独特のモダンな感じを出すため、構図や配色などを工夫しました」。
生活していると見えてこない風景を、写真を通して発見できる

「表参道の裏道で、遠くにある雲が印象的で、光の当たり方もフラットで絵画的だと感じました。レタッチで建物の色を変える際、配色をとても迷った記憶がある作品です」。
合成や加工などのレタッチ技術を使って、電線や窓やドアなど街の“ノイズ”となる視覚情報をすべて消すことで、独自の世界観を作り出す安藤さん。「学生の頃に絵画を専攻していたこともあり、最初は絵を描くときの素材として撮影していましたが、徐々に写真がメインになりました。その後レタッチャーになったことも、今の作風に大きな影響を与えたと思います。ただシリーズによって作風を変えたいので、ルールには固執しないように気をつけています」。今回の写真については、「撮影から仕上げまで、特に時間をかけて制作した作品なので、『風景との対話』をテーマとした作品になります。とても気に入っている作品たちです。普段生活していると見えてこない風景を、写真を通して発見することを重視しているんです」。
“野生の勘” みたいなものを大切にしていると良い風景に出会える

「2022年頃の大阪駅からの眺めです。大きなビルが集中して建っているのが、まるでジャングルのようでした。様々なディテールが集合した建物なので、その画像処理方法や構図など吟味しながら制作しました」。
日本だけでなく、世界の景色も撮影している安藤さんは、どんな景色に魅力を感じシャッターを切るのか?「撮りたいシーンは、遠い場所であればGoogle Earthなども使用しますが、近場であれば、ひとまず街を決めてひたすら歩いて探します。目的地を定めすぎず、“野生の勘”みたいなものを大切にしていると良い風景に出会える確率が上がる気がするんです。いいシーンが何か、どんなシーンに魅力を感じているか、なかなか言語化はできないけど、何かを感じたときに、とにかくシャッターを切るようにしています。そんな感じで撮影時にはテンションが上がりますが、実は写真を見てもあまり喜びは感じません。その後仕上げをしてやっとしっくりくることのほうが多いんです。最初の頃はルール通りに作品を仕上げていましたが、今はどうしたら画に強度が出るのかを考えて、撮影後の調整を特に気をつけるようになりました。『写真との対話』に任せるようになったんです」。

「なぜか懐かしい雰囲気を感じた街、道頓堀。オフィス用に制作した写真でもあるため、他の写真と並んだときの見え方を考慮して、構図や配色をかなり吟味しました」。

「年季の入った建物が集合する、辰巳の巨大マンモス団地。訪れた際、興奮したのを覚えています。元々入っていた塗装の剥げをカモフラ柄に利用したりと、実験的な作品になりました」。
GENIC vol.72【ARTFULL LANDSCAPE】
Edit:Megumi Toyosawa
GENIC vol.72

9月6日発売、GENIC10月号の特集は「Landscapes 私の眺め」。
「風景」を広義に捉えた、ランドスケープ号。自然がつくり出した美しい景色、心をつかまれる地元の情景、都会の景観、いつも視界の中にある暮らしの場面まで。大きな風景も、小さな景色も。すべて「私の眺め」です。