menu

色に恋して。デジタル写真をフィルム風に 「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」vol.11 megtronik

デジタルカメラで撮影した写真を、フィルム写真のようなカラーに。そんな夢のような機能が、富士フイルムのデジタルカメラに搭載されています。その名も「フィルムシミュレーション」。フィルムを交換するような感覚で色再現を楽しめる機能で、その数なんと20種類。フィルム時代から90年以上にわたり、色の表現を研究してきた富士フイルムだからこそ作れる機能です。

「Xシリーズ」「GFXシリーズ」すべての機種で使用できるとあって、この機能に恋して、富士フイルムのデジタルカメラを愛用し続ける写真愛好家やフォトグラファーも多数。

そこで、本連載では「フィルムシミュレーション」の魅力を、全12回にわたってお届け。毎回1名のクリエイターがお気に入りのフィルムシミュレーションで撮影した作品とともにその魅力を語ります。

第11回は、フォトグラファーのmegtronikさん。富士フイルムの「X-T5」で撮影した作品とともに、お気に入りのフィルムシミュレーションについて紹介します。

  • 作成日:
目次

プロフィール

megtronik

フォトグラファー 埼玉県出身。写真歴12年。自然の中に遊びに行くことが多く、「思い出をきれいに残したい」との思いからデジタル一眼レフカメラを購入したのをきっかけに、写真を始める。色や質感にこだわり、フィルムカメラを愛用するように。自然の景色や植物を絡めた人物撮影を好み、得意とする。

いいなと思った瞬間や感情をイメージ通りに残す

私は、四季の移り変わりや光や影など、自然がそのときどきに作り出す世界がとても好きです。その中に人物がいる景色はとくに好きで、写真でもよく撮ります。

私にとって写真とは、自分の頭の中を表現するもの。花を見てきれいと思う人もいれば儚さを想像する人、生命力を感じる人もいるように、同じときに同じものを見たとしても、それぞれみんな、頭の中で感じたり考えたりしていることは違うと思うんです。自分がどう感じたのかを目に見えるものとして表現できるのが、写真なのだと思います。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「晴れた日の昼間に枯草を前ボケにして撮影。逆光に照らされた枯草がキラキラと輝いていて、その繊細さに惹かれました。一番明るい空の部分に雲が写り込み、その陰影もいい仕事をしてくれています。実はカラーでも撮影していたのですが、モノクロのほうがシンプルで不思議なイメージに仕上がり、こちらを選びました。自分が表現したかったふんわりとした雰囲気に、モノクロ+Gは合っているなと感じた1枚です」。

10年以上前、写真を始めた当初はデジタル一眼レフカメラを使っていたのですが、いつも自分の写真に違和感を抱いていました。他の方の作品を見ながらなぜだろうと考えていたときに、「いいな」と思う作品はすべて、フィルムカメラで撮影されたものであることに気がついたんです。複雑な色の深みや質感がすごく素敵で…。それで私もフィルムカメラで撮影することが多くなったという経緯があるのですが、富士フイルムのカメラは、デジタルカメラでも色や質感をフィルム写真のように表現できるので、愛用しています。写真の色がとても美しく、撮影していてとても楽しいです。

富士フイルムのカメラを使い始めたきっかけは、友人が「X-E3」を1か月ほど貸してくれたことでした。ファインダーを覗いた時点で自分がイメージした色味にかなり近く、後からもう少し色味を変えたいと思ったときも、元データが理想に近いので編集がとてもしやすいことに感動しました。そのとき、デジタルカメラに対するイメージがガラリと変わり、友人に返却すると同時に、購入していました。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション:ETERNA ブリーチバイパス
「よく通る道の橋の手すりに絡みついていた植物を、早朝に撮影。時期が来たら刈り取られてしまうのですが、いつも繊細さと力強さがあるなと感じていました。早朝だともっときれいそうだと思い、早起きして撮影に出かけました。思った通り、朝日に照らされた姿が美しくて、うれしかったです。くっきりと主張しがちな赤の色もETERNA ブリーチバイパスでシックな表情に。秋冬の枯草や柔らかな光とETERNA ブリーチバイパスはとても相性がいいなと思いました」。

また、ボディが小さくて軽いことも富士フイルムのカメラの魅力です。私は毎日、必ず1枚は写真を撮って写真日記をつけているので、気軽に持ち出すために、小型軽量であることが重要なんです。日常の「いいな」と思った瞬間の光や質感、感情を自分のイメージ通りに残せるのは、常にカメラを手にしていられるからだと考えています。フィルムシミュレーションのおかげで撮って出しでも満足できるので、そのままスマートフォンに転送して写真日記として記録していける。とても楽だし、見返したときにも好きな写真があふれていてうれしい気持ちになります。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「陽が沈んだ後の海にて。少し高いところから撮影できる場所だったので見下ろすようなアングルで狙ってみると、波の動きがとてもきれいで惹かれました。はじめはカラーで撮影していたのですが、モノクロのほうが、泡立つ波が際立って美しいと感じました。フィルムシミュレーションがなかったらカラーで終えていたと思うのですが、『モノクロで撮ったらどうなるんだろう?』とすぐにフィルムシミュレーションを変更して撮影することができ、得られた1枚です。撮影中、波を避けながら遊んでいる姿がとてもかわいらしいと感じていたのですが、写真だとその姿が自分の影と遊んでいるようなシルエットになったことも、お気に入りのポイントです」。

今回使った「X-T5」は、普段使用しているX-E3に比べてファインダーがとても大きくて見やすく、撮影に集中することができました。操作性も良く、欲しいところに欲しいボタンやダイヤルがあるのもうれしいポイントでした。

そして特筆すべきは、フィルムシミュレーションの数です。普段愛用しているX-E3は9つなのに対し、今回使用したX-T5は20種類のフィルムシミュレーションが搭載されています。X-E3では「クラシッククローム」に彩度-3、シャドウを+2で撮影していることが多いのですが、X-T5はカスタムしなくても満足できるくらい、いろいろなフィルムシミュレーションがあり、簡単に好みの色にすることができました。撮ったら編集をするという概念がなくなるカメラだと感じています。

My favorite フィルムシミュレーション

フィルムシミュレーションの魅力は、撮影場所によって「こういうのもいいな」「こっちが合うかもな」と簡単に試すことができ、新しい発見をしていけるところだと思っています。細かく設定を変えるのは大変ですが、フィルムシミュレーションなら選ぶだけなのであっという間に好きな色で撮ることができます。

そのうえで、今回使って気に入ったのが、「ETERNA ブリーチバイパス」と「モノクロ+G」の2種類でした。

1:ETERNA ブリーチバイパス

普段は都度、彩度を低くなるよう設定して撮影していますが、「ETERNA ブリーチバイパス」を使えば、それだけで彩度が低く、シネマティックな写りになります。最初にファインダーを覗いたとき、見るものがすべてシネマチックになっていてテンションがあがりました。また、彩度は低くても人物の顔色が悪くなるということがなく、自然な色を表現してくれるところにも惹かれました。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: ETERNA ブリーチバイパス
「河川敷で葡萄のような実がなっている木を見つけて昼間に撮影しました。同じ木が何本かありましたが、木の後ろの空が抜けていて青空がたくさん写る構図をとりました。ETERNA ブリーチバイパスにしただけで空も木の実もとても好みの色になっていてびっくり。なかでも落ち着いた空の色がとっても気に入っています。モデルさんの服もこの場所と色味が合っていて、すごく好きな1枚」。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: ETERNA ブリーチバイパス
「草花たちが、静かに風に吹かれていたこの場所がとても好きな雰囲気で、陽が傾きだした時間帯にモデルさんに草むらの中に入ってもらい撮影。立体感を出すために前ボケを入れるようにし、静かな雰囲気を表現するためにETERNA ブリーチバイパスを使用しました。彩度が落ちることで空や草の色が主張しすぎることなく、思った通りの雰囲気になりました。ふんわりした光で、冬らしい空気感も表現されているかなと感じています」。

2:モノクロ+G

「モノクロ+G」は中間色のグレーがとてもやさしく、光の美しさがきれいに見えると感じました。柔らかい光ととても相性がよく、光と影を強調しながら、間の色まで階調豊かに表現してくれるところが気に入りました。また、肌の色や空の色もやさしい雰囲気になります。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「厚めの雲と少しだけ出てきてくれた太陽がとても印象的だった日。雲の流れが速く、刻一刻と表情を変えていく中、自分のイメージする空と近い状態になるときを探すのが楽しかったです。直前まで別のフィルムシミュレーションで撮影していたのですが、この雲と光はモノクロ+Gで撮影したいと思い変更。雲がどんどん表情を変えていってしまう中、フィルムシミュレーションなら即座の変更が可能で、タイミングを逃さずに撮影することができます。雲の陰影とモデルさんの髪の動きが気に入っています」。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「河川敷で見つけた枯草が光に照らされているのが美しく、目に留まりました。モデルさんに手をのばしてもらうと枯草の影が肌に落ち、惹かれました。モノクロ+Gは肌の色がとても自然なトーンだと感じました。枯草の陰影もとても気に入っています」。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「陽が傾いてきた時間帯、川の流れと枯草の静かな雰囲気に惹かれ、川辺で撮影した1枚。風が気持ちいい日だったので心地いい風を撮りたいと思い、モデルさんに少しだけコートを動かしてもらいながら撮影しました。撮りたかった穏やかな雰囲気と、青の表現が柔らかめなモノクロ+Gの相性がとてもよく、川の色もやさしく表現できました」。

megtronikさんが愛するフィルムシミュレーションの特徴

1:ETERNA ブリーチバイパスとは?

動画用フィルムシミュレーションETERNAに、多くの映像作家に支持されている“銀残し”のフィルム現像効果を適用。高コントラストでありつつも彩度は低く仕上げられた画は重厚感があり、ドラマチックな映像の撮影に適しています。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: ETERNA ブリーチバイパス
「陽が落ちる直前の海で、波が引いた後に残っている泡が夕陽に照らされて、まるで星空のように光っている様に惹かれ、夢中になって撮影しました。いろいろなフィルムシミュレーションを試しながら撮影したのですが、使うフィルムシミュレーションによってイメージが全く変わるのがおもしろかったです。その中でも、私がイメージする静かな冬の海は、ETERNA ブリーチバイパスがぴったりでした。まるで映画のワンシーンのような、水のなめらかさと光の差し込みを見事に表現できました」。

2:モノクロ+Gとは?

通常のモノクロモードを、緑色を明るく、赤色を濃く表現する「グリーン(G)フィルター」を使ったような仕上がりに。ほかに、表現意図に合わせた画質調整として、コントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」と「レッド(R)フィルター」もあります。

camera:X-T5 lens:XF35mmF1.4 R
フィルムシミュレーション: モノクロ+G
「河川敷で木の実がたくさんなっているのを見つけました。昼間の時間帯で、ちょうど光が当たっていてとても美しかったです。モデルさんの顔に映った影に惹かれつつ、少しずつアングルを変え、木の実の影がきれいに入る場所を探して撮影しました。赤い木の実だったのですが、モノクロ+Gを使用することで陰影が濃く発色され、深みが出ていると感じました。光と影の美しさ、木の実のこっくりとした色味が気に入っています」。

megtronikさんが使用したカメラ

X-T5

Xシリーズの原点である「小型・軽量・高画質」にこだわり、写真を最優先に設計されたモデル。5軸・最大7.0段のボディ内手ブレ補正機能や、ファインダー倍率0.8倍/369万ドットの高倍率EVFを搭載。カメラの軍艦部には、ISO感度/シャッタースピード/露出補正をコントロールする3つのダイヤルを搭載。操作感を最適化したことで、従来機より小型/軽量化した557gのコンパクトボディの実現と操作性の高さを両立した一台。

FUJIFILM WEB

おすすめ記事

連載:色に恋して。デジタル写真をフィルム風に 「FUJIFILM フィルムシミュレーションの魅力」

次の記事