【龍崎翔子のクリップボード Vol.34】愛のある空間

龍崎翔子<連載コラム>

龍崎翔子<連載コラム>第2木曜日更新
24歳にして5つのホテルを経営する
ホテルプロデューサー龍崎翔子が
ホテルの構想へ着地するまでを公開!

【龍崎翔子のクリップボード Vol.34】愛のある空間

こんな仕事をしているので、どうやらホテルに泊まるときはインテリアやデザイン、建築などをチェックしていると思われているらしい。もちろんそれはある意味では正しいが、どんなホテルが好きなのか?と訊かれるとき、いつも迷わず告げるのは「愛があるホテル」という回答だ。

同じ建物、同じインテリアでも、そこで働いている人や訪れるゲストが変わると箱の雰囲気が一気に変わることをよく実感する。決しておしゃれでも新しくもない空間なのに、その隅々に至るまで淀みがなくて張り詰めたような愛が空気に溶けて漂っているのを感じることもある。その心地よい空気感が流れている空間を味わうことそのものが、建築やインテリアより好きなんだと思う。

こういうことを言うとちょっと妖しげな感じになってしまうが、建物や部屋にはそこで過ごす人の感情や想いが地層のように積もっていくと思っている。愛された空間や暖かい記憶が流れる空間は優しく来客を包み込むし、雑に扱われた空間はどことなく素っ気無い。

敢えて因果関係をロジカルに言うならば、スタッフの空間への愛がこだわりとなり、ディテールの統一感となり、それが居心地良い空気感となってゲストに伝わり、ゲストが空間を愛し、スタッフの誇りとなり、また愛になるのだと思う。

最近はこんなふうに考えている。お金をたくさん使ってくれるゲストより、何度も何度も来てくれるゲストより、その空間を愛でてくれるゲストがいちばん大切なお客様だと。

多少垢抜けなくても、ぴかぴかの新品でなくても、そこに愛の気配がある空間がいちばん美しい。

龍崎翔子

2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、2019年3月21日にリニューアルオープン。

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