コーヒーを片手にゆっくりと読みたい一冊
52篇のエッセイ、そのすべてが珈琲とつながっています
大瀧詠一/スティーヴ・マックイーン/男はつらいよ/刑事コロンボ/植木等/チャールズ・ブロンソン/歯科診察券/宮沢賢治/リチャード・ブローティガン……エッセイに登場する人物、モノ、事柄は実に多彩。
これらがどう珈琲と関係してくるのか、推理しながら読むのも楽しい一冊です。
掲載されている貴重な写真にも注目
エッセイの本文中に挿し込まれた写真も見どころのひとつ。
「25歳のとき、自分が映っている写真をすべて捨ててしまった」という片岡義男が、25歳以降の秘蔵写真を「時系列に並べて」公開。ファンにとっては驚きのポートレート群です。
「自然光に黒バック」で、著者自らが撮影した写真もエッセイに数多く添えられていて、写真家としても知られる片岡義男、その世界を堪能できるつくりになっています。
片岡義男の必殺フレーズ、ますます健在!
片岡義男の独特の乾いた筆致は、この書き下ろしエッセイ集でも冴えわたっています。
そのごく一部を紹介します。
「遠く離れたところにぽつんとひとりでいるのが僕だ、と長いあいだ、僕は思ってきた。そのように自分を保ってきた、という自負は充分にあった」
「ピリオドを打ったなら、その文章はそこで完全に終わる。と同時に次の文章が始まるのだから、どこからどのような言葉で始まるのか、よくわかっていないことには、完全なピリオドにはなっていないのだ」
「ドトールの謎なら、なんと言ってもミラノサンドだ。なぜ、ミラノなのか。近くにテューリンがある。トリノと読めばいい。ジェノアもある。モナコ。サンマリノ。ローマ。どれもみな、サンドと合うではないか。トリノ・サンド。ローマ・サンド。なぜ、ミラノなのか」
「短編小説が生まれるまで」の過程をエッセイで、そして生まれた小説を特別掲載
本書には短編珈琲小説「謎なら解いてみて」を収録。その小説が生まれるまでの過程を、エッセイ二篇でつぶさに明らかにしています。作家がどのようにして物語を編んでいくのか、そして珈琲はその過程でどのように作用するのか、この企みに満ちた文章は必読です。
僕は珈琲
価格:1,980円(税込)
判型:四六ソフトカバー
著者:片岡義男
発行:光文社
発売日:2023年1月24日(火)
エッセイに登場する珈琲豆をスペシャル・ブレンドにして、サイン本とセットで発売
オンライン書店「コトゴトブックス」では、『僕は珈琲』の書き入り著者サイン本に、エッセイに登場する世田谷代田「グラウベルコーヒー」が特別に焙煎したスペシャル・ブレンドの珈琲豆200グラムを添えて予約受付中です。さらには著者が撮影した写真、そして文章を添えたフォト・カードもセットされるという特典も。貴重なサイン本と、著者も愛する大人気の喫茶店が今回のために特別焙煎した珈琲は、ぜひとも一緒に味わいたい!
片岡義男 プロフィール
1939年東京都生まれ。作家、写真家、翻訳家。1974年に『白い波の荒野』で作家としてデビュー。
著書多数。近著に『珈琲が呼ぶ』『彼らを書く』『言葉の人生』『これでいくほかないのよ』など。
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- 光文社
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