キーホルダーのあるホテルキー/龍崎翔子のクリップボード Vol.24
ホテルのフロントで名乗り、鍵を渡される。
その時旅人は、長い旅路の中につかの間の安寧の地を得る。かりそめとして与えられた自分だけの空間。
鍵はホテルを象徴するアイテムだと思う。
今や世界中のどこのホテルに行ってもカードキーは標準装備だし、自分で暗証番号を設定したり顔認証で出入りできるようなハイテクなところだって珍しくない。
それでも、私のホテルではずっしりと重たいキーホルダーがついたシリンダーキーをゲストに手渡して迎え入れている。
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鍵に書かれた部屋番号を目指して、壁の数字を数えながら、期待と一抹の不安を胸に廊下を歩き、鍵を挿しまわして、部屋のドアを開ける。
どんな部屋だろうと半ば願うような気持ちで重たい扉を押し開ける瞬間が、ホテルで過ごす時間の最初のハイライト。
疲れた旅人を安らぎへと導く存在、それが鍵だと思う。
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手の中に収まる小さな存在だけど、旅人をホテルに迎え入れ、導いて行くイニシエーション的役割を司る名脇役。
だから、たとえ少し面倒でも、私たちは自分たちのホテルを象徴するような美しいルームキーを用意する。
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HOTEL SHE, OSAKAでは、レコードジャケットの帯をイメージした真鍮製のキーホルダーを。
HOTEL SHE, KYOTOでは、最果ての旅のオアシスの空をイメージしたグラデーションカラーのキーホルダーを。
そして、期間限定の特別企画、詩人・最果タヒとコラボレーションした『詩のホテル』では部屋番号を冠した詩の彫刻入りのキーホルダーを。
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カードキーだろうがシリンダーキーだろうがどちらにせよ持ち歩くんだから、どうせなら最高に可愛いキーホルダーがついた鍵の方がいい。
撫でまわす回すなり写真を取るなりして可愛がって欲しい。
ただ、最近のホテルドアはオートロックが多いから部屋を出るときには鍵を持ち出すことをお忘れなく。
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龍崎翔子
2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、2019年3月21日にリニューアルオープン。