プロフィール

meui(美貴)
写真家・医学生 静岡県出身、都内で精神科医を志しながら写真家として活動。在学中に生まれた“心だけは生まれ持った唯一無二の平等”なのではという考えのもと、色や人間をテーマに、確かに存在しながらも儚さを感じさせる美しさや優しさを写真で可視化し、自身を知る手段としても表現を続ける。2020年に自主企画のグループ展「hatsu」を学芸大学で開催し、2022年には渋谷エリアで初の個展「藍 R:000 G:076 B:113」を発表。その他、大型グループ展にも出展するなど、精力的に活動中。現在、都内医学部に在学しながらフリーランスカメラマンとしても活動し、アーティスト写真・ライブ写真/映像・ダンス・音楽発表会・卒業式後撮りなど、さまざまな“人”と関わる撮影を行う。“撮る人と撮られる人”の色を掛け合わせ、生きた一瞬を作品として残すことを大切にしている。
GENIC読者の皆様、こんにちはmeuiこと美貴です。
友達は私の写真を、お喋りな写真だというの。
写真ってさ、相手と撮ってる人を写すんだ。とても愛おしい表現だと思う。
だから私は貴方を撮ります。過ごしたその一瞬が好きだから。
私は幼少期から絵や音楽、新体操などの芸術表現が好きでしたが、環境的な要因から海外や美術系大学への進学を諦め、医学部進学を選びました。しかし医学を学ぶ中で「人と関わること」や「心に携わること」が医療における自分の向き合い方であると気づくことができました。その中で写真が唯一の表現手段となり、自己表現や他者との対話に欠かせないものとなっています。
一年半の臨床実習を通じて、命や生死を肌で感じ、学生だからこその感情や気づきを得ました。そのアウトプットは今の私だからこそ成り立つものです。
私は「普通はさ…」という言葉が苦手です。それは、一人一人の「普通」が異なり、決めつけてはいけないものだからです。上京をし大学生活や制作活動をしながら、楽しい日々ばかりではなかったですが、葛藤は私にとって貴重な時間であり、それを本展示を通して共有できることが豊かな経験につながると信じています。
このプロジェクトは、2年前に開催した個展直後から長い月日をかけて育ててまいりました。写真を通して色んな人と触れて出会って、アンパンマンのような精神科医になれるよう、まずは自分の事を全力で愛し肯定しよう。そんな気持ちから始まった本プロジェクトですが、写真家として多くの人々に新たな視点や感動を届け、共に新しい文化を作り上げる一端を担えることを心から願っています。
ステートメント

私は幼少期から、人の感情や音に色を感じる感覚を持っていました。しかし、それが一般的でないことに気づいたのは大学4年生のとき、友人からの指摘がきっかけでした。
例えば、怒りや悲しみには特定の色があり、音楽に対しても「ト長調は赤」「モーツァルトの曲はオレンジ」といった色のイメージが浮かびます。この色の知覚は共感覚と呼ばれるものなのですが、これを読んでいる方の中にもそのような経験をしたことがある方はいるのではないでしょうか?
この感覚をもとに、2020年に自主企画「hatsu」を開催し、「可視光を捉える」というコンセプトのもとで作品を発表してきました。私はこれまで医学生、表現者、1人の人間として色んな人と過ごす日々を通し“心だけは生まれ持った唯一無二の平等”だと考えるようになりました。
心が不安定なとき、人は周囲の情報を敏感に受け取り、時にはその影響で世界が真っ暗に感じることもあるでしょう。一方で、安定しているときは光に満ちた日々を過ごせるものです。私は、日常の中で無意識に変化するこの色の感覚と、光の原則が重なり合うことを強く感じています。この独自の色の知覚と写真表現が、私の作品の根底にあります。
視覚は生理学的には網膜の視細胞によって認識され、これには明暗を識別する杆体細胞と、色を識別する錐体細胞があります。錐体細胞には3種類(赤、緑、青を感知するL、M、S錐体)があり、これらを使って色を識別します。錐体細胞の数や感知する光の波長に違いがあると、色覚異常(色覚多様性)が生じます。ゴッホは色覚異常だったのではないかと言われていますが、そもそも個々の視細胞の構造に違いがあるため、同じ色でも見え方が人によって異なります。
つまり色覚は主観的で、同じ「赤色」であっても各人が異なる「色の世界」を持っていることを示しています。
展示作品の一部と写真家による解説


本展示はインスタレーション形式の写真展です。私は人とのつながりや心、身体の生物/生理学的な繋がりは、規模は異なれど一貫して似た構造を持っていると感じています。この展示では、色と音を通じてその共通項を可視化し表現します。
ギャラリーの白い無垢な空間に黒い閉鎖的なボックスを設置し、その中に赤・オレンジ・黄・緑・青・紫と自己を象徴する黒の全7色に対応するポートレート作品を展示いたします。様々なフィールドで活躍する文化人の皆さんと半年かけて撮り下ろしてきました。各色には異なる感情やイメージを投影し、個人的な色彩感覚を表現。さらに、フィールドレコーディング(撮影現場の音の記録)を行い、音を「動的な色」として捉え、7色に対応した音源をレコードに焼き付けました。来場者は、3枚のレコードを選び、同時に再生することで自分だけの「三原色」の組み合わせを体験できる仕掛けとなっています。


個展最終日の閉館後には、作品をステージに創り変えアコースティックライブを開催します。テーマは「目に見えないつながりと交わり」。人、心、光、音が繋がり、発散され、深いところで巡り巡っている様子を五感空間に閉じ込めたいと考えています。私の制作過程で欠かす事のできなかった音楽や周囲の方々の存在。写真・場内音源作品の枠を超え、生きた音・心・言葉を浴びるような、ライブ形式のインスタレーションを作り上げることを目指します。ゆかりのあるアーティストの方々をお迎えし、来場者に特別な空間をお届けできればと思っています。


アコースティックライブ情報
開催日時
2025年3月23日(日)開場 19:00 スタート19:20
料金
前売り券 3,000円+1ドリンク
当日券 3,500円+1ドリンク
会場
JOINT AROUND the CORNER
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-25-8 THE SHARE 104
参加アーティスト
渡辺諒(ANTENA)
sadparty
The East Room Symphonies
meui 写真展「色と手を繋いだその先に」情報

開催日時
2025年3月20日(木)〜3月23日(日) 12:00〜20:00
※最終日のみ19:00まで
レセプションパーティー
2025年3月21日(金)19:00〜21:00
入場料
ワンドリンク制(600円)
※時間指定での鑑賞を希望する場合は、追加料金1000円で予約が可能
会場

JOINT AROUND the CORNER
- 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-25-8 THE SHARE 104
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行き方・アクセス
<電車>
JR線「原宿駅」から徒歩で9分
東京メトロ副都心線・千代田線「明治神宮前〈原宿〉駅」5番出口から徒歩で7分