視界いっぱいに広がる紅葉が美しい「五家荘」
今年の五家荘の紅葉の見頃は、例年より早く10月下旬~11月中旬。五家荘はとても広く地域内で標高差があるため、紅葉の進み具合は場所によってさまざまです。10月下旬から11月中旬のいつ訪れてもどこかでピークを迎えているため、長い期間紅葉を楽しめるのが五家荘の良いところ。視界いっぱいに広がる紅葉を眺めながらのドライブも、とても贅沢で最高の体験です。
山々に包み込まれたような吊り橋「梅の木轟公園吊橋」
五家荘が位置する泉町で一番スケールの大きい吊り橋が「梅の木轟(とどろ)公園吊橋」。吊り橋の奥にある、かつては幻の滝といわれた「梅の木轟」へ渡るために作られた吊り橋です。橋の高さは55m、長さは116mもあり、美しい山を背景にすーっと架かる橋の姿がとても美しい絶景スポット。
こちらの写真は、梅の木轟公園吊橋の駐車場からの景色です。到着したら、まずは駐車場から橋全体の姿を見てみてください。橋のスケールが伝わる、一番おすすめのフォトスポットです。
こちらは、橋のたもとから撮影したもの。まっすぐに伸びる橋を包み込むような木々や山々を、独り占めしたような写真が撮れます。絶対に押さえておきたい1枚です。
五家荘の中でも最も美しい紅葉スポット(写真は紅葉前)ですが、新緑の時期は青葉が美しくエネルギッシュで、全く違った雰囲気を楽しめます。夏場は涼しいので避暑地として訪れるのもおすすめ!
かつては“幻の滝”と呼ばれた「梅の木轟」
梅の木轟公園吊橋を15分ほど奥に進むと、「梅の木轟」があります。以前は遊歩道や梅の木轟公園吊橋がなかったため、対岸からしか見ることができず「幻の滝」と呼ばれていました。
高さ38mから流れ落ちる水の様子は、しなやかで女性的な美しさを持っています。遊歩道で滝壺まで行くことができるので、ぜひ近くで見てください。女性らしい滝と言えども、迫力満点です!
道中のスポット「龍門橋」にも注目!
梅の木轟公園吊橋から梅の木轟に行くまでにある「龍門橋」。梅の木轟公園吊橋とは違う、こぢんまりとした雰囲気が可愛らしい橋です。すぐ横には「梅ヶ枝の滝」も流れ、近くに聞こえる水の音が心地よく、とても気持ちのいい空間です。
この辺りの森は標高も約800mと高く、ハゼやカエデなど紅葉する葉や渓谷が多いため、自然豊かな森に指定される「熊本ふるさとの森林」に選ばれています。梅の木轟公園吊橋から始まり、森林浴を楽しみながら3つのスポットを回れるので、満足度は120%!
落差70m!自然のパワーを全身に浴びる「せんだん轟」
日本の滝百選に選ばれている「せんだん轟」。滝の幅は約3~4m、高さはなんと70m!水が勢いよく流れ落ちるワイルドな様子は、女性らしい滝とされる梅の木轟と対照に男性らしい滝です。
近づいて下から滝を見上げると、その迫力に飲み込まれてしまいそう!飛んでくる水しぶきさえも気持ちがいいので、自然のパワーを全身で受け止めて。
初夏は新緑、秋は紅葉と、季節ごとに違う表情を見せてくれるスポットです。天気がよい日は滝に架かる大きな虹を見ることができます。
「せんだんとどろの滝入口」から滝までは、約15分遊歩道を歩きます。道中に見える景色も美しく、進んでは立ち止まり、進んでは立ち止まり…シャッターを切る手がとまりません。木々の合間から少しずつ見えてくる滝の姿に、ワクワクしながら歩き進む15分はあっという間!紅葉のピークを迎える頃に拝める色鮮やかな山と滝のコラボは、まさに足を止めて眺めていたくなる“絶景”です。
道は整備されていますが、幅の狭い石段が続き、足元には落ち葉もたくさんあるため、歩きやすい靴はマストです!
1度に2つの橋が楽しめる「樅木の吊橋」
2つの吊り橋が平行に架かる親子橋もおすすめのスポット。高さは18m違い、高いほうが「あやとり橋」、低いほうが「しゃくなげ橋」で、2つ合わせて「樅木(もみぎ)の吊橋」と呼ばれています。
現在は観光スポットですが、昔は山中に道がなかったため、この吊り橋が山と山を繋ぐ生活通路として使われていました。通学路としても重要な役割を果たしていただんだとか。親柱には栗の木、手すりにはカバ桜、床には杉の丸太と、地元の木材で作られた橋です。向かいの橋を歩く人に手を振ったり挨拶したり、自然とコミュニケーションを取りたくなってしまうのが、親子橋らしいところ!
しゃくなげ橋の高さは、17mと低め。しゃくなげ橋から見上げるあやとり橋が、とても高く感じます。下から上の橋を撮影したり、上から下の橋を撮影したり、同じ景色の中に存在する2つの橋ですが、シャッターを切る場所によって雰囲気の異なるシーンを切り取ることができます。
樅木の吊橋は五家荘の中で最も奥地の観光スポット。標高は低いため、紅葉するのは五家荘のなかでは遅めです。
五家荘の歴史に触れる「五家荘平家の里」
五家荘には菅原道真の子孫「左座(ぞうざ)家」と、平清盛の子孫「緒方家」の2つの落人伝説が残っています。平家落人にまつわる伝説と資料を展示しているのが「五家荘平家の里」。
入口を入ってすぐ現れるのは、かやぶき屋根の古民家たち。「伊藤家」と書かれた一番手前の古民家は、軽食がいただける「山菜食堂」です。その隣は当時の暮らしが再現された「和田家納屋」、一番奥に休憩所の「松田家」があります。
休憩所の松田家は素敵なフォトスポットです。縁側に腰かけた人物と、奥に抜ける道と紅葉を入れた構図がベスト。紅葉のピーク時は全体が真っ赤に染まります。移ろいゆく季節の美しさを写真に閉じ込めて。スタッフが平家の歴史や撮影に最適な場所を教えてくれたり、敷地内を丁寧に案内してくれたり、五家荘の人の親切な対応に心までほっこり癒されます。
高台には平家落人にまつわる伝説と、当時の暮らしを学べる資料館「平家伝説館」があります。隣には厳島神社をモデルにした能舞台もあり、神楽やイベントなどが行われることも。サンセットタイムには鮮やかな朱色が池に映り、美しいリフレクションも拝めます。
数百年の歴史が眠る「緒方家」と「左座家」
五家荘に残る2つの落人伝説。落人とは戦いに敗れた敗残者たちのこと。源氏に敗れた平清経の子孫が住み始めたとされる「緒方家」、藤原一族からの追討ちから逃れるために菅原道真の子孫が住み始めたとされる「左座家」、この2つのお屋敷は、実際に見学することができます。
緒方家
約300年前に、壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平清経の子孫が姓を変えて住みついたと言われる、かやぶき屋根のお屋敷「緒方家」。平成2年までは民宿が営まれていましたが、その後地元の人たちの手によって電気のなかった当時のお屋敷として復元され、公開されました。お屋敷の2階には隠し部屋があり、まるで落人の暮らしをのぞき見した気分になります。縁側に座って庭を眺めながら、その長い歴史に想いを馳せていると、タイムスリップしたような感覚に包まれます。
左座家
菅原道真の子孫が藤原一族の追討ちから逃れるために改名し、隠れ住んだと言われるお屋敷「左座家(ぞうざけ)」。現在の建物は、約200年前に建てられたと言われています。平成4年までは同姓の子孫が旅館と使用していて、歴史あるお屋敷に泊まろうと多くの人が訪れていたそうです。外観に菅原家の家紋である梅の紋章があしらわれていたり、居間に囲炉裏があったり、古文書が展示されていたり、当時がしのばれる貴重な空間が、とても綺麗に残されています。
訪れるの人の身分によって通す玄関を変えていたため、玄関が3つある造りも左座家ならでは。落人の暮らしを想像しながら見学すると、より味わい深いスポットです。
「東山本店」で絶品のヤマメや地の物を味わう
五家荘では今も山里の食文化が受け継がれており、ヤマメや山菜、シカやイノシシ料理などが多く食べられています。仁田尾にある「東山本店」では、清流を利用したヤマメの養殖を行っていて、一年中美味しいヤマメを食べることができます。
五家荘滞在中に一度は食べてほしい東山本店のヤマメの塩焼きは、焼き加減が抜群。ほっくほくの柔らかい身に感動し、ついつい「もう1本!」と言いそうになる美味しさです。
お食事処の隣にはお土産コーナーがあり、五家荘でしか買うことのできない物など、様々な品が並んでいます。特に九州を代表する薬味「柚子胡椒」の種類はとっても豊富。泉町でとれる柚子を使ったオリジナルの商品が多数あり、どれにするか選んでいる時間も楽しい!
東山本店オリジナルの薬味「山椒オリーブ」もおすすめ。五家荘産の実山椒ととうがらしをオリーブ油に漬け込んだ、新しい調味料です。ピリッとくる辛さが癖になる美味しさで、一口食べて虜になる人が続出中だとか!お刺身につけたり、鍋に入れたり、パスタに混ぜたり、パンに乗せたり…楽しみ方は何通りもあります。他にも地元の食材を使った商品がたくさん並んでいるので、旅の思い出として、大切な人への贈り物として、持ち帰ってみてはいかがでしょうか。
夏はキャンプ、秋は紅葉を楽しめる「白岩戸公園」
五家荘エリアのすぐ近くにある、泉町の「白岩戸公園」は、人気上昇中のスポット。川沿いにある広場で、誰でも自由にキャンプができる場所です。川辺の一部はとても綺麗に整備されているので、川遊びにも最適。川の水は美しく、見上げると白岩戸公園吊橋が見え、景色も抜群です!今年の夏はキャンプに関する問い合わせが多く、公園いっぱいになるほどの人が訪れる人気ぶりだったとか。
吊り橋は長さ54m、高さは40mあり、空に映える明るいオレンジ色が特徴。川沿いの遊歩道を歩くと、白岩戸公園からは約5分で吊り橋に行くことができます。
自分へのご褒美旅に!パワーと美しさに溢れる「五家荘」へ
五家荘のおすすめスポットはいかがでしたか?
「秘境」と言われるだけあり、公共の交通機関ではアクセスできず、長時間の山道を超えるために車は必須です。
それでも訪れたい理由が五家荘にはたくさんあります。パワーをくれる大自然、過去に生きた人たちの伝説が眠る場所、ここでしか出会えない秘境グルメ、秋にはこぼれ落ちんばかりの紅葉。
魅力たっぷりの五家荘ですから、訪れる際には宿泊してゆっくり過ごすのがおすすめです。山奥で迎える朝ほど気持ちのいいことはありません。目覚めた瞬間から、澄んだ空気を体いっぱいに吸い込んで!
心と体が喜ぶ自分へのご褒美旅として、計画してみてはいかがでしょうか?
五家荘の情報は、インターネットで「五家荘ねっと」を検索してください。