「旧邸御室」の机上リフレクション“鏡庭”は新緑の美の絶景

由緒正しき築80年の郊外邸宅建築「旧邸御室」

仁和寺（にんなじ）で知られる京都府右京区にある地区、御室（おむろ）の一角にある、数寄屋造りの「旧邸御室」。築80年の高貴な郊外邸宅建築が、当時の美しさそのままに残されています。500坪の敷地には、昭和初期の風情そのままの世界が広がり、日本庭園を見渡す22畳の大広間をはじめ和室、洋間、蔵、お茶室などがあります。
旧邸御室は保存状態がよく、昭和初期の極めて上質な和風邸宅建築として高く評価され、主屋、壁、土蔵、茶室双庵、茶室御待合所の５ヵ所が、2016年に国登録有形文化財となりました。

旧邸御室は、1937年（昭和12年）に建てられましたが、設計者や建設目的は分かっていません。現在の所有者は、株式会社山三製材所創業者・山本三夫氏の次女である村田章代氏。山本三夫氏の前のオーナーであった大手酒造会社役員・四代目阿部喜兵衛氏の祖父は、NHK連続テレビ小説『マッサン』のモデルとなった竹鶴政孝氏をスコットランドへ送り出したことで知られています。

旧邸御室の中に入ることができるのは特別公開期間中のみ

旧邸御室は普段は一般公開されていませんが、毎年開催されている特別公開の期間中は、中に入って昭和初期の高貴な郊外邸宅建築の世界に浸ることができます。
2018年の「京の夏の旅」キャンペーンで初めて一般公開され、それから毎年5月の新緑の頃に特別公開がされるように。期間中は普段見られない様子を見ようと多くの人で賑わいます。
「京の夏の旅」とは、京都市と公益社団法人京都市観光協会が行っている、夏の京都の魅力を伝えるためのキャンペーンで、通常非公開の建築や庭園など文化財の特別公開を実施しています。

2022年５月７日（土）～６月５日（日）の期間で開催される、旧邸御室 “深緑の薫” 特別公開は、３年ぶりの５月公開。深緑の青もみじ、青々とした常緑樹、白やピンクのサツキなどを鳥のさえずりと共に楽しめます。
期間中はスタッフの方による建物の説明も聞け、撮影ポイントまで教えてくれることも。基本的に撮影はOKとされているので、いろいろな切り取り方で楽しんで。

艶やかなテーブルに映し出される新緑の美“庭鏡”

旧邸御室の中でも特に有名なのが、22畳の大広間に置かれた、艶やかなテーブルの“庭鏡”。
部屋の真ん中にある花梨の木の一枚板テーブルは、長い年月をかけて丁寧に磨き込まれ、ツヤツヤの光沢があります。これほどまでに大きな花梨の木のテーブルは大変貴重で、とても価値のあるものだとか。そんなテーブルに、新緑で彩られた美しい日本庭園が映り込んだ様は、まさに絶景で、とても幻想的です。