大人のノンアルコールドリンク/龍崎翔子のクリップボード Vol.05
私はお酒が飲めない。
厳密にいえば、本来はかなりアルコールに強い遺伝子を持った家系で、私も以前は大学生らしくドカドカとアルコールライフを楽しんでいたのだけど、ある時1年ほどお酒を飲めない環境に身を置いてから、いざお酒を飲もうとしたら身体が全く受け付けなくなっていたのだった。
具体的には、お酒を飲んでもご機嫌にならない(前は笑い上戸だったんだけど・・・)、お酒を飲むと身体中の筋肉がだるくなり痛みで眠れない、といったことが起きるようになって、アルコールに特別な魅力をあまり感じなくなってしまった。最近はもっぱら、一晩に1杯ほど飲んで終わりである。
そんな私に残された選択肢は、ノンアルコールドリンク。なのだが、私には大いなる不満があった。
そう、それはノンアルコールドリンク選択肢なさすぎ問題。
例えば、お酒ならば、ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ウィスキー、ジン・・・といったアルコールの種別に加え、原材料、水、製造所、製造方法、熟成年数・・・と様々な変数で違いが生み出され、無限とも思われる種類の製品が世に出され、メニュー表に並んでいる。
しかし、ノンアルコールドリンクといえば・・・コーラ、ジンジャーエール、オレンジジュース、烏龍茶、あたりで(完)となる。
ノンアルコールドリンクの代表格にコーヒーがあるが、残念ながら私はアルコール以上にコーヒーが飲めないので(味は好きなのだが、胃が痛くなるのと夜眠れなくなってしまう)、一層選択肢が狭まってしまう。
そんなわけで、願わくば、「こちらのコーラはカリフォルニア産オレンジとモルッカ諸島産のナツメグをブレンドし、15年熟成させたコーラでございます」とうやうやしくグラスに注がれ、香りと味を楽しみながらひとうんちく述べたいのである。
しかしながら、どうしてお酒は色々な種類があるのに、お店で飲めるノンアルコールドリンクはみんな同じ味なの??と世を嘆く私に最近光明が射して来た。
それは、「ともコーラ」との出会い。
ともコーラは、どの地域でも画一的に味わえ、不健康なイメージで百年以上ベールに包まれてきたコーラのイメージを刷新するために生まれた、100%天然素材由来のクラフトコーラブランド。コーラとは本来、スパイスやハーブを煮詰めて作ったシロップを炭酸で割った飲み物で、どちらかといえば、カレーや火鍋に近い存在なのだそう。
ともコーラは、日本各地のお店に卸す上で、その土地のイメージに合わせたオリジナルブレンドを作ることもあるのだという。
このコンセプトを聞いた瞬間、「最果ての旅のオアシス」として、京都の歴史と西海岸テイストを織り交ぜたHOTEL SHE, KYOTOでお客様に出したい!と強く感じた。
どこに行っても同じ体験をするホテル。どこに行っても同じ味のする”ノンアルコールドリンク”。
もちろん、ある素晴らしい商品が世界中で受け入れられていくのは尊いこと。でも、それが土地土地の魅力や空気感と切り離されてしまうようなことは、あってはならないことだと思う。
「旅」という土地の違いを楽しむコンテンツがより求められている時代だからこそ、多様な選択肢がもっと増えていく世界になることを願っている。
ちなみに、HOTEL SHE,で飲めるともコーラは、創業の地の思い出の味・ラベンダーを隠し味に。炭酸で割ってストレートに楽しむのもオススメだけど、ミルクで割ってチャイのような味わいのコーラ・ラテを楽しむのも、同じくHOTEL SHE,で提供しているBIG BABY ICE CREAMのミルクアイスを乗せてコーラフロートで楽しむのもオススメ。
街を味わうノンアルコールドリンクを楽しんで。
Photographer @craft_tomocola(1枚目の写真)、 @iori_kai(2、3枚目の写真)
【龍崎翔子のクリップボード】バックナンバー
龍崎翔子
2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、3月21日にリニューアルオープン。