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チルアウトな朝食/龍崎翔子のクリップボード Vol.03

龍崎翔子<連載コラム>第2木曜日更新
HOTEL SHE, OSAKA、
HOTEL SHE, KYOTOなど
25歳にして5つのホテルを経営する
ホテルプロデューサー龍崎翔子が
ホテルの構想へ着地するまでを公開!

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チルアウトな朝食/龍崎翔子のクリップボード Vol.03

基本的に朝が弱いので、普段は朝食を食べずに出かけることが多いが、ホテルに泊まるとなれば話は別。朝食を最高のコンディションでいただくために、早起きして化粧にヘアセットに精を出し、万全の態勢で会場に赴く。

今の世の中、美味しいものは街中に転がってるから、もちろん美味しければ美味しいほど嬉しいが、特に味にものすごくこだわっているのではない。どちらかというと、朝、普段と違う場所で食事をすることに、ときめいているのである。中でも、屋外で食事をするのがとにかく好きなので、必ず景色の綺麗なテラス席を選んで座る。私にとっては、何を食べるかと同じくらい、どこで食べるかが重要なのである。

ホテルが五感の総合芸術であるとするならば、食事はそれらの真骨頂のひと時。地のもの旬のものを食べる楽しみはさることながら、眼に映る景色や、肌を撫でる風に降り注ぐ光、鳥や動物の声や波の音、異国の言葉、感覚器官を総動員してその土地の空気感を感じたい。だから、朝食会場がリッチな宿は最高。

記憶に残る中で印象深い朝食は、沖縄のとあるトレーラーハウスホテルで食べた朝食かもしれない。沖縄の眩しい朝日で目を覚まし、水着の上にリゾートワンピを羽織って向かったプールサイドの朝食会場は、はしゃぐ子供と談笑する大人で賑わっている。朝食はビュッフェ。ポテトサラダ、ロールパン、ウィンナー、シャケ、卵焼きにゴーヤチャンプルー、どことなく人の手で作られた気配を感じる、程よい生活感のあるメニュー。

デニムのように青い空と、眩しい陽射し、湿った風、子供の笑い声。さざ波が光るプールと、白亜のデッキチェアを目の前に、オレンジのプラスチックでできたテーブルセットで食べる、ちょっとジャンクで、そして作った人の気配を感じる朝食。

このとき、自分の五感が調和して、濃い沖縄の空気に包まれたのを実感した。亜熱帯気候に育まれ、アメリカの文化と融合し、庶民のリゾート地となった沖縄。このホテルでの朝食のワンシーンが、この島の歴史と、そこから紡ぎ出される空気感を象徴していることに心から感動したのだった。

私は、知らない土地の空気を吸うために旅をしている。それゆえ、美味しいとか、お洒落とか、接客が丁寧とかだけでは満足できない。むしろ、味そこそこ、見た目そこそこ、店員は塩対応とかでも、その土地に来ていることを実感できればそれで最高に満たされる。

HOTEL SHE, OSAKAは、中庭のテラスにソファがあって、朝から屋外での食事を楽しむゲストで賑わう。私だけでなくゲストにも、テラスで食べる朝食で、港町の緩やかな空気を感じていただけたら嬉しいなといつも願ってる。

Photographer @7523nm (5枚目の写真)

【龍崎翔子のクリップボード】バックナンバー

Vol.02 シックなネオンサイン

Vol.01 セクシーなプールサイド

龍崎翔子

2015年、大学1年生の頃に母とL&G GLOBAL BUSINESS, Inc.を立ち上げる。「ソーシャルホテル」をコンセプトに、北海道・富良野に『petit-hotel #MELON』をはじめとし、大阪・弁天町に『HOTEL SHE, OSAKA』、北海道・層雲峡で『HOTEL KUMOI』など、全国で計5軒をプロデュース。京都・九条にある『HOTEL SHE, KYOTO』はコンセプトを一新し、3月21日にリニューアルオープン。

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