目次
プロフィール

はら かずあき
週末フォトグラファー/会社員 1972年生まれ、長野県出身。仕事での行き詰まりをきっかけに、自分の本当にやりたいことは何かを考え続け、写真を始めることを決意。家族、主に長女、次女、長男の三人の子供たちを被写体に写真を撮っている。
よい写真が撮れていると実感しながらの撮影は、楽しい
写真を始めるまで、はら かずあきさんは自分が本当にしたいことは何なのか、ずっと考えていました。そんななかで、6年前のある日、ふと写真をやってみようと思い立ちます。写真を撮り、撮った写真を見返したそのとき、写真は”残すことができるもの”なのだと気づきました。以来、はらさんにとって写真とは、「自分が生きてきたことの証」。写真を残すことは、自分が存在した証を残すことにもつながると、はらさんは家族を被写体に、日常の瞬間を撮影し続けています。

はらさんは、普段から富士フイルムのカメラを愛用しています。富士フイルムのカメラはクラシカルなデザインのものが多く、以前からかっこいいなと感じていました。そのなかでもコンパクトなカメラを求め、「X-E3」と「X100F」に興味を持っていたある日、知り合いから、X100Fを譲ってもらったのが始まりでした。
「実際に使ってみると、見た目のデザインはもちろん、マニュアル撮影時のカメラ操作にストレスがなく、設定のしやすさにも感動しました。絞りやシャッタースピードの設定をダイヤルで行うのが、本当に使いやすいと感じています。また、富士フイルムにしか再現できないフィルムシミュレーションの色も、さすがの一言。選んだフィルムシミュレーションの色がファインダーや背面モニターに反映されるのも大きな魅力。撮っている写真の完成形がイメージできることに加え、よい写真が撮れていることを実感しながらの撮影は、より楽しさを感じられます」。

今回使ったカメラは、フルサイズよりもさらに大きなラージフォーマットセンサーを搭載する「GFX100S II」です。
「画質のよさに本当に魅力を感じました。家の中で自然光を生かして撮影する場面では、逆光になることが多いです。そのため、外の風景に露出を合わせると室内の人物が黒潰れしたり、逆に人に露出を合わせると外が白飛びしたりしてしまうことがよくあります。それが、GFX100S IIで撮影すると、どちらに露出を合わせても、黒潰れも白飛びもすることがなく、レタッチで調整することができました。レタッチしているときの解像度の高さ、調整できる範囲の広さには、本当に驚かされました。また、GFX100S IIは背景のボケ感がフルサイズより大きくなるように感じました。柔らかいボケ感が写真全体の雰囲気を、やさしく仕上げてくれます」。

GFX100S IIを使うと「シャッターを切る回数が減った」と、はらさんは話します。
「普段使っているカメラに比べると、GFX100S IIは大きく、重さもあります。そのため露出を設定し、フォーカスを合わせ、シャッターボタンを押すまでに若干の時間が必要で、スナップのように連写で撮影をするカメラではないと感じました。とはいえそれによって、ファインダー内の構図や被写体が見せる瞬間をよく観察して、それからシャッターを切るようになりました。撮影スタイルが変わるということは、GFX100S IIでしか撮れない写真があるということです。新しい世界に出会うかのような高揚感を覚えました」。
My favorite フィルムシミュレーション
「フィルムシミュレーションは、フィルムメーカーとして長い時間をかけて培ってきた技術を持つ富士フイルムのカメラだからこその魅力であり、とても特別感があります。私は撮影前にそのときのお気に入りのフィルムシミュレーションを設定して、一度の撮影中はずっと固定で撮影します。撮影中、ファインダーや背面モニターにもフィルムシミュレーションの色が反映されるので、撮っていてとても楽しいです」。
「フィルムシミュレーションは必須」と話すはらさんが、今回使ったのは、「モノクロ+R」「クラシックネガ」「クラシッククローム」の3つです。
1:モノクロ+R
「人物を撮影したときに、人肌のトーンの階調が繊細で柔らかく表現されます。レタッチのときに露出を調整することで、柔らかいトーンのまま陰影を付けることができ、人物撮影に適していると感じました。また、今回初めてモノクロでの撮影を行ったのですが、モノクロは色が少ない分被写体が際立ち、自分が惹かれた部分がより強調されるように感じました」。

2:クラシックネガ
「私は築100年ほどの古民家で暮らしていて、写真は家の中で撮ることが多いです。クラシックネガは、まさにフィルムで撮影したような仕上がりになります。全体的にうっすら赤みを帯びた仕上がりが、フィルムで撮影したような雰囲気を出してくれます。古民家での撮影と相性がいいと感じました」。

3:クラシッククローム
「クラシッククロームは、色の発色が抑えられていて、レトロ感のある写真に仕上がります。言語化するのが難しいのですが、“いい色合い”の写真になります。クラシッククロームも、古民家での撮影に合っていると思います」。

はら かずあきさんが愛するフィルムシミュレーションの特徴
1:モノクロ+Rとは?

通常のモノクロに、コントラストを高める「レッド(R)フィルター」を使ったような仕上がりになります。ほかに、表現意図に合わせた画質調整として、緑色を明るく、赤色を濃く表現する「グリーン(G)フィルター」と、コントラストを高める「イエロー(Ye)フィルター」もあります。

2:クラシックネガとは?

スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベース。メリハリのある階調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。

3:クラシッククロームとは?

20世紀のグラフジャーナル誌に使われた写真のような色再現を目指したフィルムシミュレーション。彩度は低め、暗部の階調は硬めに設計されており、ドキュメンタリータッチでリアリズムを求める写真を撮る際などに最適です。

はら かずあきさんが使用したカメラ
GFX100S II

対角55mmの新開発ラージフォーマットCMOSセンサー「GFX 102MP CMOS II」を搭載。1億2百万画素という驚異の解像力と階調表現が、被写体の質感・立体感、そして空気感までをも表現します。読み出された膨大な情報も高速処理・最適化する最新エンジンX-Processor5を搭載し、初めてのラージフォーマットでも、違和感のないリズム・感覚で撮影できます。また、新センサーのマイクロレンズを改良し、センサー縁部の光の利用効率を高めたことにより、レンズ周辺部分の画質やAF精度が従来機よりも向上。1934年フィルムの生産開始以来、色の研究を絶えず続けてきたそのノウハウを注ぎ込んだ機能「フィルムシミュレーション」は、最新の「REALA ACE」を含め全20種類のモードを搭載。表現に幅を与えてくれます。