江戸時代から続く美しき景観「伊根の舟屋」

伊根町のシンボルである、伊根湾沿いに約230軒並んだ舟屋群。海辺ぎりぎりに建ち並び、まるで海に浮かんでいるかのよう。この舟屋は、漁村の暮らしを今に伝える建物群であり、その景観は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

伊根の舟屋は、NHK連続テレビ小説『ええにょぼ』により、全国的に有名となりました。映画『男はつらいよ』、『釣りバカ日誌』のロケ地としても知られています。

山と海をつなぐように隙間なく建ち並ぶ景観は、ここでしか見ることのできない希少な絶景です。

伊根は江戸時代に日本三大鰤漁業として知られ、「伊根鰤」や「丹後鰤」が有名でした。独特な舟屋群の景観も、その頃にできたとされています。また、伊根湾は、波の影響を受けにくく、潮の干満差が約50cｍと年間を通して水位が安定しているため、このような舟屋が可能になったそう。

舟屋は、１階が船のガレージ、２階が二次的な居室となった独特な構造。舟屋から道を挟んで母屋があります。舟屋はあくまでも漁師の作業場で、生活の場である自宅は陸側の母屋となります。

舟屋は、船を海から引き上げるために、建物の中心の大黒柱がありません。そして、１階のガレージは水面に向かって傾斜になっています。

伊根湾を囲む家々のほとんどは、漁業を営む人々の私有地です。漁師の生活の場であり個人の建物でなので、一定の配慮をして静かにじっくり味わう過ごし方がおすすめです。

伊根の舟屋の多くは民家ですが、実際に内部に入って見学することができる施設も。舟屋「幸洋丸」では、昔使っていた漁具や写真、地図などが展示されており、当時の生活を詳しく知ることができます。また、「もんどり」という地元の漁具が海に設置されており、それを引き上げるという貴重な体験も。

■幸洋丸
料金：大人200円（中学生以上）、小学生100円
定休日：水曜日
営業時間：11:00～16:00（平日） 10:00～17:00（土日祝）

海上タクシーか伊根湾めぐり遊覧船の２種類の遊覧船に乗って、舟屋を海から楽しむことが可能。遊覧船に乗って漁師の日常を体験してみて。

■海上タクシー
小型の遊覧船で、地元の船頭が自分の船でガイドをしながら伊根湾内を周遊してくれます。臨場感を味わいたい人に。
料金：1,000円／人
所要時間：約30分
定員：最大20名
予約：要（２～３名であれば予約は不要）

■伊根湾めぐり遊覧船
団体におすすめな大型の遊覧船。遊覧船からはカモメにエサをあげることも。
料金：大人1,000円、小児500円
所要時間：約25分
定員：最大150名
予約：要

伊根町には、観光スポットや飲食店、宿泊施設などがあり、他にも見どころはたくさん。
舟屋を利用した宿泊施設では、間近に広がる海を感じながら最高のロケーションを味わえます。
日本で一番海に近い酒蔵、そして日本で一番狭い蔵として知られている、伊根の酒蔵「向井酒造」も人気。
全周５ｋｍに広がる伊根湾を歩いて回るのはとても大変なので、最新の電動アシスト付き自転車をレンタルorツアーで巡る「伊根e-Bikeレンタル／ガイドツアー」もおすすめです。

伊根湾を見下ろせるロケーションにあるのが「八坂神社」。
伊根町では毎年７月下旬に「伊根祭（いねまつり）」が開催されています。伊根祭は、300年以上前の江戸時代から伊根町に守り継がれている伝統あるお祭りで、様々な演舞の奉納が行われます。

「台湾茶専門店　靑竈（ちんざお）」では、店主自らが現地で仕入れた上質の台湾茶葉をこだわりの茶器で注いでくれます。お茶の飲み方も台湾流。舟屋の中で波の音を聞きながら、海を眺めながら、ゆっくりとした時間を過ごせます。

■台湾茶専門店　靑竈
営業時間：10:00～19:00
定休日：不定休

毎年８月には「伊根花火」が開催されています。約1,200発の花火が、伊根湾に並ぶ台船から打ち上げられ、舟屋群が御神燈（提灯）でライトアップされ、幻想的な光景が広がります。伊根花火は地元の人のみならず、珍しい光景を求めて遠くからの見物客も。例年5,500人ほどが訪れるそう。
山に囲まれているため、こだました花火の音が響きあって聞こえるのも、伊根花火ならではです。

※令和３年度の「伊根花火」は新型コロナウイルス感染の状況により、開催が中止されました。

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