【市川渚の“偏愛道” Vol.19】趣味の洗濯のはなし

市川 渚<連載コラム>

市川渚<連載コラム>第1・第3日曜日更新
ファッションとテクノロジーの世界で活躍する
クリエイティブ・コンサルタント市川渚が
身の回りのモノ/コトへの強いこだわり=偏愛を語る!

【市川渚の“偏愛道” Vol.19】趣味の洗濯のはなし

ここ1ヶ月ほど、クリーニングに出そうか出すまいか迷っていたお気に入りの「Cecilie Bahnsen(セシリー・バンセン)」のトップス。近くで見ると、さりげなく生地全体にローズのような花柄が全面的に施されているものだ。

確か、素材はシルクだったはずなので、シルクに花柄のプリーツ加工がされているとすると……水に浸けたら確実に花柄が消えていく運命だ。一方、夏場は汗をかくので可能な限り水洗いをして服に染み込んだ汗をスッキリさせておきたいところ。

ドライクリーニングは万能だと思われがちなのだが、油性の汚れには適しているものの、汗などの水溶性の汚れはドライクリーニングでは落ちにくいのである。特殊な溶剤を使う“汗抜きクリーニング”に出すという方法もあるが、シルク×プリーツという繊細な素材を第三者に託すのは不安……海外から購入したものなので、洗濯表示は全て英語だし……最悪の場合、生地の花柄加工がキレイに取れて戻ってくる可能性もある……(過去に経験済)。

なんて考えると、やっぱりこれは自己責任で家で洗うしかないなと意を決して、改めて洗濯表示を確認してみた。するとそこには、”Rose Silk Jacquard”の文字が。

「なんだ。ジャカードか」

ジャカードは、熱で布地に”クセ付け”をするプリーツとは異なり、布の”織り”自体で柄を作っているものなので、加工が取れたり、ゆるくなったりする心配はほぼ必要ない。素材自体も、シルク100%ではなく、洗濯耐性の強いポリエステルとナイロンの混紡だったので、自宅クリーニングのハードルの高さはグイッと下降。つまり、私のこれまでのお気に入りの1着に対する迷いは、杞憂だったのだ。

私は洗濯表示が洗濯NGだったとしても、だいたいの服を家で洗ってしまう。もちろん、生地が何で出来ているか、生地の色や柄、施されている加工を注意深く確認する前提で。

数ある家事の中でも、私にとっての「洗濯」はかなり趣味的な側面が大きく、週に3日くらいはほぼ1日中、仕事をしながら、洗濯をしている気がするほどだ(笑)。自宅には素材や色柄にあわせて、洗剤や処理剤を用意してある。どれも複数回リピートしているお気に入り。

冒頭のCecilie Bahnsenのトップスのような繊細な衣類にはホームクリーニング用の「ハイ・ベック」を長年愛用している。

なかなか迫力のあるパッケージなのだけれど、植物系のドライクリーニング溶剤で、これを溶かした水に5分ほどつけ置きするだけでしっかりと汚れが落とせる。水に晒す時間が少なくて良いので、繊維や服自体の痛みも最小限で済む。ドライクリーニングとは違って、水を使うので水溶性の汚れもスッキリ。ドライクリーニングと水洗いのいいとこ取りができる。柔軟剤不要なのに、柔らかく仕上がるのも良い。ちょっと高額ではあるのだけれど、容量が大きくかなり長持ちするので、クリーニングに出すコストと手間と比較すれば、1回にかかるコストはかなり安く済んでいるはずだ。

アンダーウエアには「Forever new」のファブリックケアウォッシュを愛用中。粉末タイプのものを愛用していたのだけれど、すっかり手に入らなくなってしまい、仕方なく最近液体タイプにシフト。弱アルカリ性なので、血液などのタンパク汚れもスッキリ溶かして落としてくれる。布ナプキンのつけ置き洗いにもぴったり。つけ置き用の容器は「月兎印」のホーローキャニスターを使っている。そのまま煮沸もできて便利。

ただし、前出の通り、Forever newの洗剤は少し手に入りづらいので(Amazonやiherbで買えたり買えなかったり)、その場合は「弱アルカリ性」の表示があるもので代用可能だ。アルカリウォッシュやセスキ炭酸ソーダと表示されているものでもいい。アンダーウエアを洗う洗剤は、とにかくタンパク質を分解できる弱アルカリ性であることが重要である。ただし、洗浄力が強いので、デリケートな素材のものは長時間つけ置きしないように。

定番のお洒落着洗い用洗濯洗剤の「エマール」はメイクブラシやスポンジを洗うのに使っている。かなり強力な洗浄成分が使われているブラシクリーナーと比較すると、中性かつ、肌に刺激の少ない成分が使われており、コスパも汚れ落ちも◎だ。

毎日洗いたいタオルやルームウエアなどの日常着には、「STONEWORKS」のデタージェントポッドを愛用中。iherbで購入できる。粉末洗剤が1回分ごとに個別包装されたもので、計量スプーンやキャップで使用量をはかる必要がないので、夫が洗濯をしてくれるときにも「洗剤は1個入ればOK」と伝えておけば覚えてもらいやすい。パッケージも可愛くてお気に入りだ。

最近シダーの香りを買ってみたのだけれど、私のお気に入りは「Birch Branch」という白樺の木の香りのもの。日本の洗濯洗剤ではあまり見かけない、深呼吸したくなる落ち着いた香りだ。香りの強さも洗濯物にふんわりとほのかに感じる程度なところもお気に入り。

白物は極力分けて洗うようにしており、上記の洗剤に「Laundress」のオールパーパスブリーチを足して、40〜60度で洗う。オールパーパスブリーチのような酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)は洗濯時の水温を50度前後に上げて使うと、効果が高まる。汚れのひどいときは、つけ置き時間もプラスする。

仕上げのアイロンなども含め、手間を考えれば、プロがいるクリーニング屋さんに託すのも一つの方法ではあるが、お気に入りのものほど、個人的には自分で目視しながら洗いたい。

というわけで、私は今日も洗濯をする。

市川渚

1984年生まれ。N&Co.代表、THE GUILD所属。
ファッションとテクノロジーに精通したクリエイティブ・コンサルタントとして国内外のブランド、プロジェクトに関わっている。自身でのクリエイティブ制作や情報発信にも力を入れており、コラムニスト、フォトグラファーやモデルとしての一面も合わせ持つ。

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