巨大な円筒のオブジェが目印
奈義町現代美術館は、日本を代表する世界的な建築家・磯崎新によって設計され、1994年(平成6年)4月25日に開館しました。通称「Nagi MOCA(ナギ・モカ)」。那岐山をバックに斜めに傾いた円筒のオブジェが一際目立ちます。
国際的に活躍している荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の4人の芸術家に一般の美術館では収集不能とされる巨大作品を制作依頼。その作品、また、その全体の空間を作家と建築家が話し合い、美術館として建築化したものです。
「太陽」「月」「大地」と名付けられた3つの展示室から構成されており、土地の自然条件に基づいた固有の軸線を持っています。
夜のイベントなども開催されており、普段とは違う幻想的な夜の美術館を楽しむことも。ギャラリースペースでは企画展が開催されており、2021年9月14日(火)〜10月3日(日)の期間で「坂本太郎展-VOICE-」が開催される予定です。
(※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、開催期間が変更になる場合あり。詳しくは公式WEBにてご確認を。)
また、同建物内には奈義町立図書館や奈義町観光案内所なども入っています。
身体も頭もパニックになる「太陽」
「太陽」の部屋にあるのは、荒川修作+マドリン・ギンズの作品≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫。
円筒のオブジェの正体がこれです。オブジェの後ろに回り込むと入口があり、狭い黒い螺旋階段を登って部屋の中に入ります。
中に入ると、京都・龍安寺を模した石庭が湾曲して向かい合っています。部屋の中央にはベンチとシーソーと鉄棒があり、その頭上にはやはり向かい合ってベンチとシーソーと鉄棒が。傾斜した円筒の中には、不思議な空間が広がっていて、平衡感覚が失われます。
足元も傾いて湾曲しているので、歩ける場所は限られており、どこに身体を置いても落ち着かずフラフラ。快適さはゼロ、これまで感じたことのない不思議な感覚に、身体も頭もパニックになること間違いなしです。
太陽の部屋はフォトスポットとしても人気。部屋の中心軸が南北軸と正確に重なるよう配置されています。そのため部屋の前方から光がよく入ってくるので、まるで絵画のような美しいシルエット写真が撮れます。
安らぎの場所「月」で穏やかな気持ちに
「月」の部屋にあるのは、岡崎和郎の作品≪HISASHI-補遺するもの≫。
「休」という漢字の形のように“人が木により憩う”場所となっています。
部屋全体は三日月の形をしており、天井は高く、白い壁には3つの≪HISASHI≫が取り付けられています。その向かいには岡山産の御影石でできたベンチが2つ用意されており、そこに座って休憩することができます。手を叩いたり床を歩いたりすると、驚くほどに音が大きく反響するのが特徴。
部屋の奥には細長い窓があり、そこからは絶妙な光が入り込んできます。月の部屋は中秋の名月22:00の方向を指しており、その時には窓から月の光が差し込むように。
屋外と屋内で違った顔を見せる「大地」
「大地」の部屋にあるのは、宮脇愛子の作品≪うつろひ-a moment of movement≫。
中庭には、浅く水が張られた池と、縦横無尽に弧を描くステンレスのワイヤーのオブジェ。風に揺られてオブジェが微かに揺れ、水面にオブジェが写り、見る時間や天気によって違う顔を見せてくれます。
ガラス1枚挟んだ屋内へ行くと、同じようなオブジェがありますが、こちらは敷き詰められた石の上にあり、風に当たらない静寂な世界。屋内へは廊下を歩いて行きますが、水平なのになぜか地上から地下へと変容するような感覚に。
大地の部屋は、那岐山頂に向かって延びるように配置されています。
喫茶室からもガラス越しにこの『うつろひ』を眺めることが可能。
奈義町現代美術館の帰りに寄りたいランチ
奈義町現代美術館のすぐ近くには、人気イタリアンのお店「PIZZERIA La gita(ピッツェリア ラ ジータ)」があります。こだわりの生地をナポリ産の500℃の石窯で一気に焼き上げたピッツァは、本場ナポリの味。イタリア政府公認「真のナポリピッツァ協会」の認定店で、「ミシュランガイド岡山2021」に掲載されたお店です。奈義町現代美術館を訪れたなら、ぜひ立ち寄ってみて。
奈義町現代美術館(なぎちょうげんだいびじゅつかん)/岡山<日本>
岡山県勝田郡奈義町豊沢441
<行き方・アクセス>
電車&バス:JR「津山駅」より津山バスセンターにて中鉄北部バス乗車、「ナギラス(奈義町役場)」下車後、徒歩約5分
<営業時間>
9:30〜17:00(入館は16:30まで)
<休館日>
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館)および祝日の翌日
<観覧料金>
一般・大学生:700円
高校生:500円
中学・小学生:300円
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