まさに天空の城
岐阜県中津川市苗木の木曽川沿いにそびえる標高約432mの「高森山」に築かれた苗木城。1526(大永6)年、この地へ移り住んだ武家「遠山氏」によって築城されたと言われています。一度は城を追われてしまいますが、1600(慶長5)年に苗木に戻り苗木城の奪還に成功。以降、遠山氏は、明治維新に至るまで12代にわたって苗木領を治めました。テレビの時代劇で有名な『遠山の金さん』は、この遠山氏の家系から生まれています。
苗木城跡は1981年に国の史跡に指定されました。また、専門誌『日本の城ベストランキング』(晋遊舎)の「山城」部門で1位に選ばれたり、財団法人日本城郭協会選定の「続日本100名城」に選ばれたりしている、注目のスポットです。
春の花見シーズンには、近くの「苗木さくら公園」で山の斜面を覆うように咲き誇る桜が、秋の紅葉シーズンには、木々が赤や黄色に色付き、一段と華やかになった景色が見られるなど、季節ごとの味わいを楽しめます。
龍伝説が残る苗木城
苗木城は赤土で壁が塗ってあるだけで、表面が白く塗られていませんでした。それは、山の麓を流れる木曽川には城を守る龍が住んでいて、その龍が白色が嫌いだったから。何度か壁を白く塗り替えても、龍によってはぎ取られてしまい、一夜にして元の赤い壁に戻ってしまったのだそう。このような龍伝説が残っています。こうして日本中にたった一つしかない赤壁の城として有名になり、今もなお苗木城は別名「赤壁城」と呼ばれています。
ここでしか見られないインパクトのある石垣
苗木城跡は天然の岩山を利用した“岩の城”で、その独特の外観は、ジブリ映画やマチュピチュを彷彿させます。全国でも珍しい、天然の巨岩がそのまま利用された石垣が見どころで、石垣マニアをも唸らせるほど。岩の上や岩の周囲に積まれるなど、地形の制約を受けた積み方や、年代によって違った積み方などが見られます。
まるで古代遺跡のような風格の「大矢倉」跡。三階建ての苗木城内最大の建物で、圧倒的な存在感を放ちます。大矢倉の石垣は、石同士が接する部分を打ち欠いて平らにし、 隙間に間詰石を詰めながら積み上げていく「打込接(うちこみは)ぎ」という方法で積まれています。
天守台のすぐ下にある「馬洗岩」は、周囲約45mもの巨大な花崗岩質の自然石です。かつて苗木城が敵に水の手を切られた(水路を断たれた)時に、この岩の上に馬を乗せ、米で馬を洗い、水が豊富であるかのように敵を欺いたことが、名前の由来。
山頂の展望台からは360度の大パノラマ
かつて三層の天守が建てられていた山頂には、天守の柱があった穴を再利用して組まれた展望台があります。展望台からは恵那山など木曽の山々や木曽川、市街地を360度見渡すことができ、雄大な絶景が楽しめます。
木曽川にかかる赤い「城山大橋」には、4ヶ所に龍伝説にちなんだ龍のモニュメントが飾られています。橋の途中にいくつかある照明灯には小さな龍が乗っていたりも。
橋の上から見る苗木城跡も素敵です。
雲海発生時は幻想的な景色が広がる
寒暖差のある秋から冬の早朝には、タイミングが良ければ雲海に出会えるチャンスも。木曽川から発生する霧があたり一面を覆います。真っ白な霧に包まれた幻想的な景色に、感動すること間違いなしです。
苗木城跡(なえぎじょうあと)/岐阜<日本>
苗木城跡 基本データ
<住所>〒508-0101 岐阜県中津川市苗木
<TEL>0573-66-8181(苗木遠山史料館)
<駐車場>あり
入場料
無料
行き方・アクセス
<車>中央自動車道「中津川IC」から約10分
<電車・バス>JR東海「中津川駅」前から北恵那交通バス苗木・付知方面に約10分乗車、「苗木」下車後、徒歩で約30分
「中津川市苗木遠山史料館」でさらに知識を深める
苗木城跡入口付近には、苗木領の歴史的な文化遺産を保存・公開する「中津川市苗木遠山史料館」があります。史料館内にある「苗木城復元模型」は、赤い壁や岩山にあった数多くの建物が再現されていて、当時の様子がイメージしやすくなっています。城跡を案内するガイドの受付も行っているので、歴史背景などを聞きながら城跡巡りをしたい人は利用してみてはいかがでしょうか。苗木城跡に関するお土産や資料集などの販売も。
中津川市苗木遠山史料館 基本データ
<住所>508-0101 岐阜県中津川市苗木2897-2
<TEL>0573-66-8181
<開館時間>9:30〜17:00(入館は16:30まで)
<休館日>月曜日(月曜日が祝日等にあたる場合はその翌日)、12月27日~1月5日
※臨時休業あり
<駐車場>あり
入館料
大人 330円
小・中学生および幼児 無料
ボランティアガイドについて
<所要時間>50分〜要望に応じて
<利用料金(協力金)>
個人(9名以下) 500円
個人(20名以下) 1,000円
観光バス1台につき 2,000円
<その他>苗木遠山史料館への事前予約が必要、12月中旬〜2月は冬期休止
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