あなたが最後に初めて何かしたのはいつですか?/夏南の法則Vol.56
「When was the last time you did something for the first time?」
これは私が昔どこか旅先で見かけた、立て看板に書いてあった言葉です。
訳すと「あなたが最後に初めて何かをしたのはいつですか?」
この立て看板のことを思い出したのは、昨日の夜。
何かライトでハッピーな映画見たいなと思って、久しぶりに「ステイ・フレンズ」という映画を見たとき。
ジャスティン・ティンバーレイクが演じるディランが、ヘッドハンティングにあって自分の住んでいるLAからオファー先のNYに引っ越すか迷っている冒頭のシーンで、ぽっとそのことが思い浮かんだのです。
私にとってNYが特別な場所であることはよく話していますが、初めて行った23歳の時のことが、この時一瞬でフラッシュバックした。
19歳のパリの経験をモノにできなかった私は、NYで初めていろんなものから解放されました。
自分が何者かわからないアイデンティティークライシスとか、パリでできなかったこととか、なんだかしっくりこなかった日本での生活とか、よくわからないモヤモヤとか全部がスパークしたかと思ったら、溶け去って、ものすごく身軽になった。
伝わりづらいかもしれないけど、それくらいのインパクトとスッキリ感があったし、それを忠実に伝えようと思ったらこんな表現になる。
あの人生最大の冒険から10年が経とうとしてるのかと思ったら、なんだか感慨深い気持ちになった。
私が最後に初めて何かをしたのはいつかな?って考えたら、そういえば今日初めてのオリーブオイルを買ったこと思い出してクスッと笑ってしまった。
いつもなら近くのスーパーで買うのだけど、今日はもうちょっといいオリーブオイルがあるお店までわざわざ買いに行きました。
「単身NYへ行く」に比べたら規模が小さすぎるかもしれないけど、でもそこで確かに新しいことをしたよなって思えた自分にちょっとした変化を感じたのです。
南米の血が入っているからなのか、蠍座だからなのか、はたまた両方なのかはわからないけど、私はどうもドラマチックに生きようとする節があって(笑)、昔だったら初めてのオリーブオイルを買ったことなんぞ(すごく美味しいオリーブオイルです)カウントしなかったはず。
しかもそれをつまらない自分になったなと卑屈になるんじゃなくて、小さなことも大事にできるようになっていいじゃんって感じられたことに、なんだか温かい気持ちになりました。
なんでも当たり前だと思わないで、気づくこと、感じること、そして感謝すること。
大事にしたいなって、改めて思いました。
今週も素敵な一週間になりますように♡


大屋夏南
1987年生まれのブラジル出身。17歳でモデルデビュー、数々の人気雑誌やファッションイベントに出演。
また、私服、美容情報など彼女のライフスタイルがいち早くチェックできるインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルメディアはもちろん、最新著作となる旅エッセイガイド『Down to Earth』を出版するなど幅広く活躍中。