「恐怖」と「後悔」/夏南の法則Vol.101
When was the last time you did something for the first time ?
(最後に何かを初めてやったのはいつですか?)
これは何年も前にNYで見かけた看板に書いてあった言葉です。通りすがりに読んだ時にハッとし、その場で立ち止まったことを今でも覚えています。
子供の頃、私たちの世界は新しいことだらけです。初めて見るもの、触るもの、感じること、全てが新しい。
まだ失敗する怖さも知らないからどんなことにも果敢にチャレンジし、毛虫に触って湿疹が出たり、転んで膝をすりむいたりする。
それが大人になるにつれて痛い思いや怖い思いをして学び、無茶をすることも減っていきます。
こうやって自分の”体”を守ることを覚えていくわけだけど、それと同時に自分の”心”を守ることも学習していく。
辛い、苦しい、悲しい、恥ずかしい、寂しい、といった感情をできるだけ避けるようになって、それらを感じる可能性を含んだ行動をするのも億劫になっていきます。
新しい挑戦をする時に一歩が踏み出せなくなるのは「どうなるかわからない」という”未知”の部分に対して、自分の心を傷つけられるかもしれないという恐怖を感じるから。
でもこの時思い出して欲しいのは私たちは失敗するたび、辛い思いをするたびにそれらに対処する方法も学んでいるということ。
ただの失敗も、辛いだけの出来事も、無駄なことは1つもなくて、どの経験も成長するチャンスなのです。
「恐怖」という感情は生き残っていくために必要不可欠だけど、それが人生の指標になってしまうと、私たちからやりたいことをやる機会や、学ぶ機会をどんどん奪っていきます。
そして長い時間をかけて最終的に「後悔」という感情を残していく。
このエピソードが公開される日は私がクリエイティブディレクターを務めるブランドENCIRCLEの展示会の最終日。
ブランドを立ち上げるという新しい挑戦に対して、怖さが全く無かったと言ったら嘘になります。
ブランドにまつわるいくつもの決断に、本当にこれでいいのか?と迷ったり、自分の感覚は正しいのか?と不安になることも多かった。
でもそれよりもこの挑戦に対するワクワクが自分の中ですごく強くて、まだどうなるかわからない”未知”の部分が大きな可能性のように感じられた。
失敗することもあると思う。だけどそれから学んで、成長していけばいい。
ネガティブな感情は、それを乗り越えた先にあるキラキラの一部として受け取ったらいい。
過程に振り回されずに、自分の本当に欲しいものを手に入れて欲しい。
それを後回しにして生きるには人生は短すぎるから。
素敵な2週間でありますように♡


大屋夏南
1987年生まれのブラジル出身。17歳でモデルデビュー、数々の人気雑誌やファッションイベントに出演。
また、私服、美容情報など彼女のライフスタイルがいち早くチェックできるインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルメディアはもちろん、最新著作となる旅エッセイガイド『Down to Earth』を出版するなど幅広く活躍中。