menu

“古性のち初心者カメラ教室”写真ともっと仲良くなるための基礎講座

こんにちは。フォトグラファーの古性のちです。

私が初めてカメラを手にしたのはもう10年も前のことで、ずっしりと手に収まる、今まで感じたことのない重みにわくわくしながら、シャッターを切ったのを覚えています。

今では私にとってカメラは人生にも仕事にも欠かせない存在になって隣にいるけれど、初めの頃は機能も、設定も、撮り方のコツすらも分からず、その後何年も「なんとなく」でシャッターを切っていました。

そんな私と同じように「カメラともっと仲良くなりたいけれど、どうしたら良いか分からない」人に向けて、今回はNikonさんとGENICと手を取り合い、初心者向けのカメラ教室を開催しました。

  • 作成日:

写真教室のパートナーは Nikonのミラーレスカメラ 「Z fc」

初心者向けカメラ教室のパートナーとして今回一緒に過ごしたのは、2021年にNikonから発売されたミラーレスカメラ「Z fc」。
Nikonのクラシカルなデザインと高性能を兼ね揃えた優れもの。
軽く持ち運びしやすく懐かしいデザインなのに新しい。

ポートレートも植物も、室内でも外でも、どこでも気軽にシャッターを切りたくなるカメラです。

「食パン片手にベランダから外を眺める理想的な朝時間」
【撮影機材】Z fc×NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)

「美しい緑と光のコントラスト」
【撮影機材】Z fc×NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)

「いつも通り変わらず愛しい港」
【撮影機材】Z fc×NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)

「多重露光が織りなす世界はいつも優しい」
【撮影機材】Z fc×NIKKOR Z 28mm f/2.8(Special Edition)

写真を楽しむための基礎講座

今回100名近くから応募があり、そこから当選した8名の参加者と共にZ fcを実際に触りながらカメラの基礎知識についてお話ししました。

以下は、当日使用したスライドと共に、みなさんにお話しした内容を分かりやすくまとめたものです。
これからカメラを始めたい方のご参考になれば嬉しいです。

「写真の明るさを決める3つの要素」の話

まず初めに、自分で写真を作る楽しみを知るきっかけになる「明るさ」のお話から。
写真の明るさを決める要素は大きく分けて3つあります。それが「ISO感度」「F値」「シャッタースピード」です。

今の時代、スマホでもきれいな写真を撮ることはできますが、多くのスマホでは、画像全体の明るさの調整は出来てもディテールをコントロールする要素の設定はできません。そのため「ここはもう少し明るく撮りたい」「思っていたよりも白飛びしてしまった……」のような現象が起こることもしばしば。

それに対し、カメラではこの設定を自分で行い調整します。これが自在にできるようになることで、自分好みの写真を撮る第一歩になるはずです。

……とはいっても、私自身も写真を始めたばかりの頃は全然分からなかったですし、今でも完璧だとは言えないんです。撮影した写真を後から見て「もっとF値を大きくすれば良かった」と反省することも。

だから、皆さんも初めから上手にコントロールしようと思わなくても大丈夫です。自分の好きな写真を撮れる打率を上げるために、まずは「ISO感度」「F値」「シャッタースピード」の存在を知ってください。

①「ISO感度」で光を感知する能力を調整してみる

ISO感度は、カメラに内蔵されている光を感知するセンサーの感度の値です。100、200……3200のように数字で表されていて、この数字が大きくなるほどセンサーが光を捉えやすくなるので暗い場所でも撮影が可能です。

左:撮影モード:M(マニュアル)、1/1000秒、f/5、ISO500
右:撮影モード:M(マニュアル)、1/1.3秒、f/4.5、ISO1250

たとえば、室内やくもりの日の撮影など、少し暗い場所で写真を撮るときにはISO感度を高め(数値を大きく)に設定、晴れた日の屋外のように光の多い場所ではISO感度を低く(数値を小さく)設定しています。

具体的なISO感度の数値は、
・晴れの日の屋外:100〜500
・くもりの日の屋外や室内:500〜1600
・夜や暗所:1600〜
程度にすることが多いです。

ただ、一点ここで注意すること。最新の多くのカメラはISO感度をとても高く設定することができる作りですが、ISO感度をあまりに高く設定しすぎてしまうと、写真にザラッとしたノイズが出やすくなるんです。

メーカーやカメラによってノイズが気になり出す数値は異なりますが、〜3000程度に抑えておくと写真がザラツキにくくなるのでおすすめです。

②「F値」ではボケと明るさを調節できる

F値(絞り)は、レンズを通過する光の量を調整する値です。2.8、4、11などこちらも数字で表され、この数字が小さくなるほど多くの光を取り込みます。つまり写真が明るくなります。

また、F値にはもう一つ役割があります。それがボケの量を調節すること。

F値が小さくなるほどピントが合っている範囲が狭くなるので被写体の前後が大きくボケます。反対に、F値を大きくすると被写体とその背景までピントが合い、パキッと写すことができるんです。

左:撮影モード:M(マニュアル)、1/1000秒、f/4.2、ISO640
右:撮影モード:M(マニュアル)、1/60秒、f/11、ISO640

少し複雑ですが、

・F値を小さくすると、ボケの量が多くなり、写真も明るくなる
・F値を大きくすると、ボケの量が少なくなり、写真が暗くなる

という関係性です。

カメラらしいボケはF値によって生まれるものなので、皆さんにもF値の調整を覚えてもらえると嬉しいです。

③「シャッタースピード」は写真に色んな表情を与えてくれる

シャッタースピードは、シャッターが開いている時間を調整する値です。1/100秒、1/500秒のように表され、時間が長いほどシャッターが長時間開くので多くの光を取り込みます。

このシャッタースピードを調節することで、たとえば、時間をまるごと切り取ったような写真を撮ることができます。建物は止まっているのに、行き交う人々だけが動いているような不思議な写真を見たことがないでしょうか。
こういった写真は、シャッタースピードを長めに設定することで撮れるものなんです。

左:撮影モード:M(マニュアル)、 1/30秒、f/5、ISO640
右:撮影モード:M(マニュアル)、 1/2秒、f/5、ISO320

これとは反対に、シャッタースピードを短く設定することで、滝や水の流れなどの動きの早いものを止めて、流れゆく物の一瞬を捉えることができます。いわゆる高速シャッターと呼ばれる撮り方で、1/500〜秒程度で撮影されるのが一般的です。

高速シャッターの場合は、一瞬を切り取ることができる反面、シャッターの開いている時間が短いので写真は暗くなってしまいます。

多様な撮影モードで快適に撮影する

「ISO感度」「F値」「シャッタースピード」の要素には、それぞれ特徴や数値を変えることで得られるメリットとデメリットが存在します。これらを自分好みに調整しながら写真を撮れることこそが、カメラの面白さなのだと思います。

また、カメラの多くにはこの要素の一部をカメラに委ねることができる「撮影モード」があります。複数のモードがあるので、今回は一部をご紹介します。

・M(マニュアル)モード:ISO感度、F値、シャッタースピードのすべてを自分で決める
・A(絞り優先)モード:F値のみを自分で決めて、その他はカメラにおまかせ
・S(シャッター優先)モード:シャッタースピードのみを自分で決めて、その他はカメラにおまかせ
・P(プログラムオート)モード:F値とシャッタースピードをカメラが決めてくれる

さまざまなモードがあるので、実際にいろいろ試して自分に合うものを選んでみるのが良いかもしれません。ちなみに、私のおすすめはAモード。

カメラならではの楽しみであるボケをコントロールするF値のみを自分で決められて、スムーズに撮影ができるためです。私もAモードを日頃の撮影で使用することもあります。明るさが頻繁に変わったりする環境ではおすすめのモードです。

自分らしい写真を撮るヒント「フレーミング/構図」

ここまででお話した要素を踏まえ、続いて自分らしい写真について考えていきましょう。「私らしさ」を作る要素はたくさんありますが、私は主に「撮るもの(被写体)」「フレーミング/構図」「色(編集)」に分解できるのではないかと考えています。

被写体や色は撮り続けてみないと分からない部分も多いので、今回はフレーミング/構図のお話を(フレーミングと構図というフレーズは、厳密には意味が異なりますが今回は“切り取る行為”全般を指してお伝えします)。

自分らしい写真を撮ろうと考えるとき、大切なのは「どんな写真を撮りたいのか」を考えること。そのための手助けをしてくれるのがフレーミング/構図です。

構図とは写真の中での被写体の配置のこと。とてもたくさんの種類があるので、今回は最初に覚えておくと便利な構図を3つに絞ってご紹介します。

①初心者でも真似がしやすい基本の構図「三分割構図」

三分割構図は構図を紹介する際に最初に登場することも多いスタンダードな構図。写真の縦と横、それぞれに三分割線を引いて、その線の交点に被写体を置きます。

三分割線の交点に被写体を配置することで、写真のバランスが取れるので安心感のある写真に。どう撮ろうかと構図に迷った際にはまず試していただきたいです。

②インパクトと落ち着きを与える「日の丸構図」

日の丸構図はその名の通り、写真の中央、ど真ん中に被写体を配置する構図です。中心に被写体が置かれることで落ち着いた雰囲気も生まれますし、被写体の印象も強く残ります。

ポートレートでよく見かける構図でもあるので、人を撮りたい場合や自撮りにもおすすめ。中央に被写体を配置するのに加えて、上下左右の余白を均等に取ってあげると、なお安定した写りになるはずです。

私も撮影するときについつい使ってしまう構図。三分割構図がうまくはまらないときには日の丸構図、試してみてください。

③写真に奥行きを与える「対角線構図」

対角線構図は写真の対角線上に被写体を配置する構図です。シンプルな構図ではありますが、他の構図と同様に安定感が生まれるので写真を始めたての頃にはおすすめ。

私は被写体がたくさん並んでいるときに対角線構図で切り取ることが多いです。その先にも被写体があるのだと感じさせることができるので、奥行き感や立体感を生み出せます。

構図の発想は自由に。一番大切にしたいのは写真を楽しいと思うこと

カメラの基本設定に続いて構図までお話したので、頭がパンパン……という方もいるかもしれません。最初は今日学んだことを意識しすぎず、まずは楽しく撮影することを心がけてみてください。考えすぎてシャッターを切れなくなってしまうのが一番もったいない……!

フレーミングや構図はあくまでも写真をより良くするコツの一つにすぎないですし、写真の中に何をどう収めるのかは一人ひとりの自由。

被写体だけに集中するのではなく、四角いキャンパスの中に何をどう置こうかな?と、自分なりにデザインするような気持ちでシャッターを切ることが大事だと思います。ちょっとした意識の話でもありますが、自分が好きだと思う写真を見つけるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

シャッターを切る回数と成長は比例する

いろいろとお話してきましたが、写真を楽しむにはたくさんカメラと触れてシャッターを切ること。まずはカメラを持って身近なところをお散歩することから始めてみてください。

シャッターを切る回数が少ないと、写真がなかなか上達できずに楽しくないと感じてしまいかねないからです。

近くのスーパー、いつものお散歩コース、ちょっとした旅行など、どんな場所へでも構いません。自分が持ち歩きたくなるカメラを手に、たくさん外に出かけてみてください。

質疑応答

Q1. 普段、レタッチするときに意識していることはなんですか?

A . 「写真の中にどんな世界を作りたいのかを決めること」です。もちろん白飛びや黒つぶれがないようになど基本的なことも考えていますが、レタッチではゴールを定めることが迷子にならないためにとても大切。写真を見てくれた方にどう感じてほしいのかを考えてレタッチの方針を決めています。

あとは、レタッチに迷ったときは友人に「どっちが私っぽい?」と写真を見せて意見を尋ねることもあります。

自分らしさを見つけるのはなかなか難しいですが、好きな写真家さんの写真を横に並べて真似してレタッチするのもおすすめです。好きなテイストが分かるようになるので、私も意図的に誰かのレタッチに寄せる練習をしていました。

Q2 . 「自分の納得のいく写真」が撮れるようになるまでにやってきたことはなんですか?

A . 自分自身、まだまだ納得のいく写真ばかりが撮れているわけではありませんが、撮り続けないと上達しないので試行錯誤を重ねるようにしています。私の周りにいる写真のうまい友人も、これまでに多くの撮影を重ねてきた姿を見ているので、トライする数は必要かなと。

その数を重ねるために、私は「今日は100枚写真を撮るまで帰らない」と決めてたくさん写真を撮る日を作ったりしていました。すごくマッチョな方法ではありますが、友人と作戦を立てて「この公園の中で100枚撮って見せ合おう」って遊んでいると楽しいんです。

また、レタッチと同じように好きな写真家さんの写真を真似て撮影するのも良いと思います。今までに気づかなった構図や差し色の入れ方など、写真に込められたこだわりを分解できるようになるので見る目も上達すると思います。

Q3 .カメラとスマホ、場面ごとにどう使い分けていますか?

A . 先ほども少し触れましたが、カメラとスマホで撮る写真の大きな違いはボケを作り出せるかどうかだと思っています。そのため、ボケを活かしながら作品としてしっかりと写真を残したいときはカメラを使うことが多いです。

反対にスマホでは気軽に写真を撮れるのが魅力。友人との楽しい時間やおいしかったごはんなどをその場の空気ごと切り取りたいときに使っています。それぞれの良さが違うのでカメラとスマホの両方で撮るシーンもあります(笑)。

Q4 . 写真を上手に撮影するために、水平垂直を意識するのは必須ですか?

A . 教科書通りの回答なら必須だと思います……が、正直、私はあんまり気にしなくて良いんじゃないかと思います。それよりも、自分が好きかそうでないかのほうが大切だと考えているからです。

撮影した写真が水平の取れているもののほうが愛せるならばそのほうが良いだろうし、曲がっているほうが愛せるのであればそれも良いと思うんです。お仕事で撮影する場合は自分の好きだけでは判断できないのでその限りではありませんが、普段の撮影では「好き」を基準にしてみてはどうでしょうか?

古性のち

1989年横浜生まれ。世界中を旅しながら「写真と言葉」を組み合わせた作品を作る写真創作家。BRIGHTLOGG,INC取締役。飾らない日々をドラマチックに表現することが得意。SNSが大好き。現在すべての総フォロワーは16万人ほど。

古性のち Twitter
古性のち Instagram
古性のち note

【編集部よりお知らせ】Z fc発売記念!プレミアムエクステリア張替キャンペーン実施中

好みやライフスタイルに応じてボディーの人工皮革部分「プレミアムエクステリア」を変えられる張替サービス料が期間限定で今なら無料です(通常、税込み4,950円)。ボディーをカスタマイズして、自分らしさを表現してみて。

プレミアムエクステリア張替キャンペーン

撮っている時間も持っている時間も楽しいZ fc

静止画にも動画にも使える、瞳AF・動物AF、20種類のクリエイティブピクチャーコントロールなど、Zシリーズで人気の機能に加えセルフィー撮影時にも心強いバリアングル式画像モニターを採用したZシリーズの最新機種。専用アプリ「SnapBridge」を使えば静止画と動画をWi-FiまたはBluetooth経由で転送できるだけでなく、スマートフォンをリモコン代わりに遠隔撮影をすることもできます。小型軽量でクラシカルなデザインが可愛いZ fcレンズキットは2種類。

Z fc 16-50 VR SL レンズキット

約135gの小型・軽量ボディーで気軽に持ち歩ける、使いやすい標準ズームレンズキット。風景・スナップ、ポートレートからテーブルフォトまで幅広いシーンがカバーできます。レンズはZ fcのボディーと同じシルバー仕様。

Z fc 28mm f/2.8 Special Edition キット

手軽にボケを楽しめる小型・軽量の単焦点レンズは、「ニコン FM2」発売当時のマニュアルレンズにインスパイアされたヘリテージデザイン。フルサイズにも対応しているレンズです。

Nikon WEB

マイクロレンズならではの写真表現を手軽に楽しめるNIKKOR Z MC 50mm f/2.8

Nikon WEB

おすすめ記事

#Z fcに関する記事

次の記事