自分に娘ができたら教えたいこと/夏南の法則 Vol.07
先週の日曜日は母の日でした。
うちのママはとってもチャーミングでかわいい人。
いつもニコニコしていて、私と手を繋いで歩きたがったり、”愛おしい”という言葉がぴったりの人です。
でも、そんな彼女は実はとっても強い人。
ママは大学在学中の19歳の時に私を妊娠しました。
彼女が育ったのはブラジルの田舎で、土地柄もですが、女性が大学に行くこと自体が珍しい時代。それでも“退学して子供を産む”という選択が、とても力強い選択だったことは自分がその年頃になってやっとわかりました。
それまでは子供の立場から“親”という風にしか彼女を見れていなかったけど、1人の女性として考えた時、シンプルにすごいなって。
きっと親心で苦労した話は私にはしないけど、私が布のオムツを使っていたことや日本に出稼ぎに来たことなど、点を繋いでいくと、当時どれだけうちの両親が金銭的に余裕が無かったかわかる。
私が3歳の時、彼女は23歳で、誰も知り合いのいない地球の裏側に引っ越すのは怖かったと思うし、とてつもない勇気が必要だったはず。

18歳まで私をしっかりと育て上げてくれたママからは、同じ女性としてたくさんのことを学びました。
工場で働いていたママだったけど、いつも爪にはキチンとマニキュアを塗って、作業着にもアクセサリーをたくさん合わせたり、普段のちょっとした外出でも必ず口紅を塗ったりする姿を見て、常に綺麗でいる美学。
結婚して30年以上経つけど、未だにパパの前で身支度したり着替えたりしない奥ゆかしさ。
若くして妊娠し、外国で生活を送りながら、多くの困難を乗り越えてきた忍耐強さ。
そして、いつでもあの温かい雰囲気をまとっていられるしなやかさ。
大人になればなるほど素敵な女性だなと思うのです。
今思えば私がマニキュアが剥がれてくると落ち着かないところや、ファッションアイテムでアクセサリーが1番好きなのも、ママの影響だなって。

そんな彼女が小学校低学年くらいの頃から私に口すっぱくして言い続けてきたのは「自立した女性になりなさい」ということでした。
当時フェミニストのカルチャーは全く根付いていなかったし、私の“自立した女性像”もハッキリしてなかったはずだけど、そんな時からこれを言い続けたのは、いろんなことを乗り越えてきたママだからこそ。
そして、これが彼女から教えてもらって1番感謝していること。
もうすっかり染み付いたそれは、私にいろんな困難を乗り越えさせ、自由にしてくれた。
自分に娘ができたら同じことを教えるんだ。

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大屋夏南
1987年生まれのブラジル出身。17歳でモデルデビュー、数々の人気雑誌やファッションイベントに出演。また、私服、美容情報など彼女のライフスタイルがいち早くチェックできるインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルメディアはもちろん、3冊目のスタイルブック「purple」を出版するなど幅広く活躍中。