【表現者が撮る東京 #2】はましゃか(フリーランサー)

GENIC編集部

様々な分野で活躍中の写真を愛する表現者たちが捉えた“東京”をクローズアップ。
#2では、活躍の幅が多彩すぎるマルチフリーランサー、はましゃかさんの伝えたい東京、そして東京への想いに迫ります。

はましゃか

はましゃか フリーランサー 1994年生まれ、北海道出身。多摩美術大学在籍中に、ブログをきっかけに『ar web』で連載を開始し多くのメディアで話題に。卒業後は『できる仕事が多すぎて困る…新卒フリーランスの20の仕事』と題してnoteで仕事を募集し、さまざまな分野で活躍中。

東京は「じぶんを写す鏡」 作:はましゃか

東京がどんなところかは、周りの人がどんな人かで決まる。
周りの人がどんな人かは、自分がどんな人かで決まる。
だから、自分が抱く東京のイメージは、
じぶんの写し鏡なんじゃないかと思う。

忙しい場所と思うのは、自分が一息つけてないんじゃないか。
つまんない場所と思うのは、自分が真面目すぎるんじゃないか。
汚い場所と思うのは、自分がすり減ってるんじゃないか。
何にもイメージがわかないのは自分を見失ってるんじゃないのか。
輝いている場所と思うのは、あなたが必死に生きてるからじゃないのか。

❝いろいろな人生が交錯する東京は 「伝言ゲーム」の舞台のよう。❞

出発点であり、北海道へ帰るときに必ず通る羽田空港。いろいろな人生が交錯する場所のイメージ。

東京という透明な街を、そこで出会う人々が色付けている

筆業、モデル、イラストレーター、役者、タレント…驚くほど多彩な才能に恵まれ、いくつもの肩書きを操るはましゃかさん。多摩美大生だった頃に、故郷である北海道の女子校と上京後のカルチャーショックを綴ったブログが話題になった経歴がある。美大を卒業して3年目のはましゃかさんの目に映る、かつてカルチャーショックを受けた東京とは?

「東京そのものは透明な概念で、東京で出会った人たちでイメージに色が付いていく感じ。あの街にはあの人たちが住んでいる、あの駅にはあの家族が住んでいる、でも実はその人たちも東京じゃない場所からやってきている。伝言ゲームのような場所」

神奈川から東京に引っ越すことが決まった年の元旦、友人の家付近で撮影。遠近感を出したくて、イラストで遊んでみました。

以前は、化粧をして写真を撮らないと…と自分に課していたのですが、素顔の自分も認めよう!と思って写真に残したり、アップするようになりました。

「東京の魅力は、古さと新しさの折衷、自然と都市のギャップ、派手な社交場と狭い部屋など、正反対のものが融合しているところ。
あと、東京で流行っているとどこでも流行っていると思いそうになる“今はこれだよね”感の強さががすごい。カオスへの寛容さ、ギャル文化やKawaii文化…東京の唯一無二な点はたくさんあるけれど、スマホひとつあれば移動も待ち合わせも買い物もできる。写真も撮れて、アップすることもできる。そんな私の手の中に収まっている東京の出来事が、今回の写真です」

自宅にて、友人と。ベッドの上でチキンを食べるという、子供の頃はできなかったダメなことを回収していくような、小さな野望をこの部屋で叶えていくのがとても好きです。

「後から見た時にその瞬間に考えていたことが鮮明に思い出せるような、ドラマチックだけど飾り気がない写真が自分らしい一枚だと思っています。」

❝今できる精一杯のことが、ここならできる。 東京は、そういう場所。❞

電車が苦手でタクシーに乗ったものの、それでも遅刻しそうで不安で仕方なかったときの一枚。

そんな東京が、最近は少し変わってきていると感じるそう。
「ここ5年くらいで、環境や多様性に対する理解が進んでいる気がします。そしてリモートワークが可能になった今、住む場所の選択がもっと増えるんじゃないかと思います。東京の内側へ!という雰囲気が、少し外側に住んでみようという雰囲気になりそう」

睡眠時間がかなり長く、夢をたくさん見ます。その内容に引っ張られたり、寝ているときと起きている間のボーッとしているときにアイデアが湧くことが多いかも。

「今できる精一杯のことをがんばれる場所だから、私は東京に住んでいます。でも本当はいろんな都市を旅しながら暮らしたい、という気持ちもある。今は東京が一番合っているけれど、いつかのびのびといろんな場所に行くために、自分だけの部屋という秘密基地で準備しています」

振り幅が激しくて、行き先が 見つからないとき創作にぶつける

住民票を東京に移し、やっと、やっと、初投票!

はましゃかさんといえば、イラストや手書き文字と写真を組み合わせた“しゃかコラ”の印象が強い。

「美大に入学して初めてPCでデザインをした際、周りが優秀で苦手意識を抱き、PCを使わず好きなスマホでなんとかいい感じの画像を作れないか試行錯誤したのがきっかけ。手書きで文字を書く機会が減ってしまったのが寂しくて、紙に書いた文字と写真を組み合わせる“しゃかコラ”を思いつきました。投稿すると、おもしろがってフォローしてくれる人が増えて…」

おうち時間を楽しく、というテーマで撮影。パジャマでいながら、ヘアメイクはバッチリと。中華柄パジャマに合わせて、イラストも中華料理の湯気のような、水墨画をデフォルメしたようなイメージ。

「当初はいわゆる“可愛い女の子”を目指して自撮りしたものに文字を組み合わせることが多かったのですが、その後外見を偏重するルッキズムから解放されたい気持ちが生まれて写真のテイストが変わり、写真作品用のInstagramアカウント @selfie_artworksでも投稿を始めました。しゃかコラしたくなる写真はワクワクしていて、“みんな見て見て~!”というテンション」

「@selfie_artworksに載せているフィルムなどで自分を撮った写真は、少し落ち込んでいるとき、不安なとき、寂しいとき、もしくはちょっと現実世界から離れたような気持ちでいるときが多いです。その2つがたまに重なった写真が撮れるときもありますが、そのバランスはこれから探っていきたいです」

撮影は、雑念が紛れる私なりのマインドフルネス

天気とか、育てているネギとか、近所のネコとか、身の回りで起こる些細な出来事だけでいろんなことを空想してしまいます。

はましゃかさんの写真には、さまざまな表情や気分を纏うはましゃかさん自身が切り取られている。

「私が学生の頃は、自撮りはナルシストのやること、とバカにされるような風潮がありました。それで、作品を撮るテーマを“自撮りを写真作品に”にしたんです。恥ずかしい、と思われがちな自撮りを写真作品として認めてもらえるようなクオリティにしようと」

“可愛い”“きれい”がいいという固定観念や、“若いほうがいい”という価値観から解放されたいという思いで、自分じゃない物体を俯瞰して記録するつもりで撮影。

「自分を撮るときは、自分を物体として俯瞰して見るようにして、自我が空っぽになっているように撮ります。自分が若い女性の体を持っている人間だ、というのを観察しています。私にとって自分を撮ることは、セルフセラピーというか、自分で自分を励ますような、自分が今ここにいることを認めていく作業を意味しているんです」

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GENIC VOL.55【表現者が撮る東京】
Edit:Satoko Takeda

GENIC VOL.55

テーマは「TOKYO and ME 表現者が撮る東京」

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