【夏南の法則 Vol.34】ガブリエル・シャネルの部屋で感じたこと
時差ボケで目が覚めたのは5時半。
もう一度寝ようにも、寝返りをうつばかりだったので諦めて朝ごはんを食べに1階に降りた。
昔から一度は泊まってみたかったリッツ パリは、どこを切り取っても映画のセットのよう。
隅から隅まで手が行き届いているのに、スタッフは行き過ぎないカジュアルさを持っていて親しみやすい。
今年3回目になるパリは、CHANELのビューティーチームと。
初日に当たる今日は、一大イベントが控えている。
なんと、ガブリエル・シャネルのアパルトマンに行くのだ。
あの、アパルトマンに。
ガブリエル・シャネルは1937年のある日に、ここリッツ パリのスイートを借り、その後34年間滞在しました。
彼女にとっては“家”であったリッツ パリにはCHANELのスパがあり、彼女とゆかりがあったことがホテルの至る所で感じられます。
その彼女にとって創造の場所であったアパルトマンはホテルから歩いて5分ほど。
カンボン通りのCHANEL本店の上にある。
お店の入り口から入り、彼女が座ってショーを見ていたと言われるあの鏡張りの階段を上がると、CHANELのイメージである、白、黒、ベージュとは全く違う世界が広がっていました。
デコラティブでいろんな国の文化がミックスしている不思議な空間。
彼女の星座である獅子座からライオンや、ラッキーナンバーである「5」、父親の影響から幸運のお守りように大事にしていた麦の穂などのモチーフが部屋中に散りばめられていました。
実はこのモチーフたちはこのアパルトマンだけではなく、CHANELのコレクションの中にも多く登場します。
No.5の香水、麦をイメージしたハイジュエリー、ライオンのアクセサリーなどなど。
ここまで自分の“好き”を貫いているのってすごい。

彼女が亡くなってから時間が経っても、CHANELというブランドがガブリエル・シャネルの精神に基づいてブレがないのは、生前彼女が自分の好きなものを信じて、大切にしていたから。
彼女の後にブランドを任されたカール・ラガーフェルドもアパルトマンに足を運びインスピレーションの源にしていたそうです。
あのバッグはこのソファーのクッションから、あのキャンペーンはこのオブジェから、リッツ パリのスパの壁はこの部屋の壁から。
それらの説明を聞いていると、彼女が自分の人生の全てをクリエイティブに注ぎ、そしてその姿を見ていた人々がそれを引き継いでいることに感動した。
“スタイル”というのは、一貫性と不変性から生まれていく。
それを目の当たりにしました。
彼女の強い意志と、愛するものに対する情熱があらゆる人を巻き込んで生まれたCHANELというブランドのソースに触れ、もっと大胆に、もっと自分らしく生きるべきだと勇気をもらった。
やっぱり人生にワクワクしていなくちゃ。
ガブリエル・シャネルのアパルトマンを後にしてから、本店でいつもより大胆なものを選んだのはきっと彼女の精神に後押しされたからだと思う。

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大屋夏南
1987年生まれのブラジル出身。17歳でモデルデビュー、数々の人気雑誌やファッションイベントに出演。
また、私服、美容情報など彼女のライフスタイルがいち早くチェックできるインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルメディアはもちろん、3冊目のスタイルブック「purple」を出版するなど幅広く活躍中。